「後から学んだ音楽ではなく、無意識のうちに聞いていた音楽。『怖いシーンだったらこういう音楽だろう』という感覚は、そこからくるのだと思っています。だから多分、僕の音楽は昭和っぽいと思います。子どもの頃に食べたおいしいものの記憶とでも言いましょうか。本場で食べるイタリアンもいいですが、喫茶店のナポリタンも忘れられない、そういった感覚です。僕にとって根っこにあるもので、そこは外せないですね」
ライブ初日の5日は、大友氏が率いるバンド「大友良英 GEKIBAN Special Band」が演奏を担当し、ドラマ『エルピス』の制作陣が登場。トークセッションも見どころの1つ。
6日の公演では、来年2023年で放送から10年を迎える『あまちゃん』に焦点を当てる。当日は、当時のメンバーがほぼそろった17人編成の「大友良英(あまちゃん10周年直前)スペシャルビッグバンド」が登場。ヒロインを演じたのんがゲスト出演し、大友氏と組んだ音楽ユニット「のんとも。M」の楽曲も披露する。
「初めて会ったのが2012年なので10年になるんですよね。のんちゃんにビッグバンドの生演奏を付けて一緒にステージに立つのは感慨深いですし、本当に楽しみです。それに、トークではあまちゃんの話もできるのかなと思っています」
久しぶりの共演を心待ちにしているという大友氏。それに、大所帯のビッグバンドならではの醍醐味(だいごみ)もある。『あまちゃん』は大友氏にとって特別な作品。多くの交流が生まれ、自身の活動にもいい影響を与えているという。
「珍しいことに、僕の今の活動にしっかり結び付いているんです。『あまちゃん』から生まれたものがたくさんあって、ビッグバンドはもちろんそうですし、東日本大震災後に福島で盆踊りイベントをやっているのですが大きなきっかけはあまちゃんです。それに、のんちゃんだけでなく、出演者の方々と仲良くさせていただいています。尾美としのりさん、薬師丸ひろ子さん、小泉今日子さん、渡辺えりさん、片桐はいりさんもそうですし、素晴らしい人間関係を築くことができました。個人的には、ビッグバンドで紅白歌合戦に出ることができて、親も親戚一同も喜んでくれて、本当にありがたいことだと思っています」
ライブ会場は東京・有楽町に新たに誕生する劇場「I‘M A SHOW」。同劇場の創設には、コロナ禍でエンタメ業界が前を向く新たな挑戦への思いが込められている。新たな幕開けとなる2夜のライブ。エンタメ界にとっても、大きな可能性を秘めるものになりそうだ。