梨泰院の規模感は神楽坂や下北沢と同じ(時事)
1904(明治37)年には、日露戦争の緒戦の勝利を祝う提灯行列の群衆が熱狂して皇居・馬場先門に殺到し、20人の圧死者を出す惨事も起きた(この事件を機に、馬場先門は撤去された)。
皇居で群衆事故が多いのには理由がある。
「坂道や道幅が一部狭くなっている場所は、人の流れが滞って密集し、雪崩を起こしやすい。とりわけ、もともと江戸城だった皇居のように、城は構造的な面で危険箇所が多い。敵の侵攻を防ぐために、わざと通路を狭くしたり、ジグザグに曲げたりして、勢いよく攻め入ってこられない構造になっているためです」
いざ群衆事故に遭遇したとき、助かる方法はあるのか。
「混雑が予想される場所に行くときは、靴はスニーカー、服はひらひらしたスカートを避けること。できればバッグは持たずに手ぶらがいい。持つならリュックサックがベター。いざというときに前に抱えれば、呼吸するスペースを確保できる可能性があります」
大切なのは、群衆雪崩が起きる前に立ち去ること。
「周囲の人との距離がなくなり体が密着した状態が続くようになれば危険です。察知したら、体を動かせるうちに瞬時に離れること」
巻き込まれた場合は頭と上半身を守りたい。
「転倒しないようにしっかり踏ん張って、胸の前で肘を突き出して腕を組み、呼吸できる空間を作りましょう。もし転んだら伏せの体勢で頭を抱えて体を丸め、頭とお腹を守ってほしい」(形成外科医の高田女里さん)
悲劇を繰り返さないために、できることがある。
※女性セブン2022年11月24日号