そもそも卵巣がんは開腹手術をして腫れた卵巣を取り出さないとわからない、というところから説明は始まるのね。
で、「ステージIIIという場合もあります」と言われ、それだけでも身構えるのに、さらに、腫れた卵巣がほかの臓器にどんな悪さをしているかは、実際に見てみないとわからない。卵巣を取り出すときに、腸をやむを得ず損傷させてしまったら、こんな手術をする。その手術の結果、こんなことが起こる可能性がある……と図解入りで懇切丁寧に説明をしてくれたの。
結局、その日は一日中何も手につかず、夜中に目が覚めてはため息ばかり。
手術に備えて前日から絶食して水溶性の下剤をのみ、さらに腸を空っぽにするために浣腸も。その前には剃毛もされている。でも、そんなこともこの不安に比べたら、なんてことはない。まさに悶絶。
それをLINEで友達にグチったら、「まな板の鯉だね。頑張って」と返ってきた。いやいや、まな板の鯉は鯉だけど、手術で頑張るのは私じゃなくて医療スタッフだよ。
(第2回につづく。第1回から読む)
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/空中ブランコや富士登山などの体当たり取材でおなじみ。昨夏から故郷・茨城で母を在宅で介護し、今春、看取った。
※女性セブン2022年12月1日号