タクシーを待ちながら、街頭の柱にテッポーのような仕草を見せる逸ノ城(右)
4日目には結びの一番でカド番大関・正代を破った逸ノ城。平幕力士が大関に勝つ“銀星”ということでNHKのインタビュールームに呼ばれ、そのあとリモート取材にも今場所で初めて応じた。逸ノ城は「今日は自分の相撲が取れた。自分の相撲をやっていきたい」と口にしたが、師弟関係のトラブルについては一切話さなかった。
取材を終え、すべての力士のなかで最後に会場を後にした逸ノ城と付け人。タクシーを予約している場所に向かったが、この日は迎車がなかなか来ない。10分待っても、20分待っても来ない。通行人が逸ノ城に気がつくが一切リアクションをすることなく、時間を持て余しているのか信号の鉄柱を相手にテッポーをする逸ノ城。
30分経過して場所を間違えていたタクシーが到着して乗り込んだが、すでに打ち出しから1時間を過ぎた午後7時になっていた。それから福岡国際センターからタクシーで40分かかる福岡・糟屋郡久山町にある湊部屋の宿舎へ向かったのである。湊部屋後援者のひとりはこう言う。
「親方との距離はいまだに隔たったまま。ちゃんこも他の力士たちとは一緒に食べない状況が続いているようだ」
場所が始まっても、力士たちの外出は全面的に禁止されている。中洲に繰り出すこともできず、どこの部屋の関取たちも宿舎で時間を過ごしている。特に湊部屋では部屋頭と親方の対立が続き、気まずい空気が流れているというのである。
湊部屋宿舎の前には、今年の7月場所優勝記念として桜の木が記念植樹され、「逸ノ城桜」と命名されている。来年の春に花を咲かせる頃には部屋の騒動も収まっているのだろうか。