ハルコが毒舌なのに、「嫌われない」理由
常時ハルコに振り回されるフードライター・菊池いづみ(松本まりか)が、思わず心の中で「言い過ぎ!」とツッコむこともしばしば (c)東海テレビ
――ズケズケとしたハルコの言葉はド直球過ぎて、一歩間違えれば嫌味や、説教臭くなってしまいそうなものばかり。“説教臭さ”と、気持ちのよい“喝”の違いはどこにあると思いますか。
大地:ハルコさんって、それなりの苦労(※バツ2。最初の離婚後に医学部へ行き、医師免許を取得)をしていながら、素直、正直な人。正義感が非常に強いので、何ごとにも悪びれない。そして、とても親切だと思うんですよね。
今の時代、当たり障りなく生きていこうと思えば生きていけるのに、それができない。自分なりの正義感が素直に出るから、嫌みがないのかなと私は感じています。
――当たり障りがないように生きていた方が、“楽”な時代。
大地:ご近所づきあいも、変に声をかけるとよくないとか、すぐパワハラと言われちゃうとか、何かを言って、ネガティブな反応があるのを恐れる時代なのかな。だったら「触らぬ神に祟りなし」ということで、見て見ぬふりをしてしまう……。だからこそ、ハルコさんみたいに、ズバッと「本当のこと」を言ってくれる人がいたらいいな、と思う人は多いんじゃないでしょうか。
――本音があるのに、なかなかそれに自信が持てなかったり、世間体があったり。
大地:ハルコさんの元には人が集まってきて、毒舌なのに嫌われない。みんな“頼りたい”んですよね。右か左か迷った時、「こういう理由で、これは右」とキッパリ言われたいとか、あるいはハルコさんの意見を聞いて「実は右だと思ってたのよね」と溜飲を下げるとか。
――ご自身は、言いたいことがあった場合に、「言う」方ですか?
大地:時と場合によりますけど、例えば一つの作品に向き合う時、それがより良くなるようにという思いが前提で、意見としてコミュニケーションをとる、ということはありますね。
友達にしても、その瞬間は嫌がるかなと思うようなことでも、本当にその人のことを考えるからこそ、「私はこう思う」と伝えます。「こうしなさい」ではなくてね。嫌われたらどうしよう、と思う人とはそもそもあまり付き合わないです。
そういうものがほっとけないというところは、少しだけハルコさんに似ているかもしれません。
大地真央の考える、「カッコいい大人」とは
ハルコの衣装も見どころの一つ。ヒゲをつけ、甲冑をまとった「女信長公」姿には、「さすが」の声も多数 (c)東海テレビ
――バッサバッサと斬っていくハルコさんの姿勢には、カッコいいという声も。大地さんにとって、「カッコいい大人」とはどういう人のことだと思いますか。
大地:自立していながらも、ある種の“かわいさ”がある人。自分の良いところだけではなく、駄目なところも出せる人って、カッコいいなと思います。かつ、それぞれの人たちを尊重できる。そういう方はカッコいいなと思いますね。
――第9話(12月3日放送)、第10話(12月10日放送)では、真飛聖さんと共演。宝塚、かつ男役トップスター繋がり(※大地は1973年に59期生として入団。真飛は1995年入団の81期生)ですが、何か共通点を感じた部分はありますか?
大地:共演は全くの初めてでしたが、宝塚の“香り”って、あるんです。説明するのは難しいんですけど、夢に向かっていく気持ちとか。宝塚は、2024年に110周年を迎えますが、長い歴史のなかで、トップを経験した人は本当にわずか。その喜びも苦しみも知ってる人っていうのは、通じ合うものがあるかもしれません。
あとやっぱり、ご挨拶がちゃんとしていますね。「おはざいまーす」とか、「おつかれしたー」といった感じではなく(笑)。やっぱり挨拶に始まり挨拶に終わる、というところは、叩き込まれているなと思います。