放っておくと危ない「重病のサイン」29(上半身編)
片方の瞼が下がったら…
一刻を争う病気として注意したいのが、脳梗塞や心筋梗塞など脳心血管に関するものだ。
「吐き気を伴う頭痛や片方の手指が痺れるなどの症状が出たら、緊急を要します。手足の痺れは、脳梗塞を発症し、脳の感覚神経などに障害が起きている可能性がある。吐き気を伴う頭痛が生じるのは、特に脳腫瘍で頭部のなかの血液量などが肥大する頭蓋内圧亢進が起きているせいかもしれません。
また、左肩のこりがいつまでも治まらなかったり、安静にしていても胸の痛みを感じる場合などは、心筋梗塞のサインである可能性がある」(同前)
二本松眼科病院副院長の平松類医師は、目に現われる症状にこう注意を促す。
「視野が欠ける症状で有名なのが、脳のほぼ真ん中にある下垂体に腫瘍ができる下垂体腺腫です。視神経交叉が圧迫されることで視野が狭くなります。また、片方の瞼が下がったら、動視神経の近くに脳動脈瘤ができていたり、脳梗塞やくも膜下出血を起こしている可能性があります」
平松医師は「目の病気は軽視しがちだが、命に関わることもある」と警告する。
「いつもより見えなくなるなどの症状では痛みも痒みもないため、『明日になれば治るだろう』とそのままにする人が多いですが、放置すればくも膜下出血などを起こして命を落とすこともあります。特に脳の病気や網膜動脈閉塞症は、血圧の上がる冬こそ気を付けてほしい」(同前)
サインを感じて医療機関を受診する時に注意すべきことは何か。秋津医師が言う。
「初めての症状や、いつもと違う症状が出たら、必ず一度は診察を受けるべきです。いつもと違う痛みについては市販の鎮痛剤で抑えようとせず、受診してください。
重病のサインには身体の部位や症状ごとに細かく違いがあるので、いつから、どこに、どのような症状があるのかを医師に詳しく、具体的に伝えることが大事です」
身体が発する重病のサインを最初に受け取るのは、自分以外にはいない。些細な変化でも見逃さないよう、日頃から自分の身体の状態に注意を向ける必要がある。
週刊ポスト2023年1月1・6日号