夫婦で70代、新婚生活は?
山手線デートとは初々しい。熱烈アプローチを聞いていると、こちらまでドキドキしてくるが、前田さん、気持ちが若いんだなぁ。新婚生活はさぞ楽しいに違いない。
「知り合って間もないから、まだ気を遣いながら暮らしています。でも、それもまたいいし、不思議な感じですよ。彼女は料理をあまり好きではないから、一緒に外食を楽しみ、家での料理は僕と半分半分で担当しています。今日もこの取材の後、スーパーで買い物して帰って料理する予定です」
料理をはじめ身の回りの世話をしてもらいたくて結婚したがる高齢男性も多いと聞くが、前田さんはまったく当てはまらないようだ。
「僕は養父母に育てられたのですが、養母は僕が4歳のときに、養父は僕が中学生のときに亡くなりました。養父が亡くなるまでの1か月、僕が病院の隅の七輪でおかゆさんを作ったり、めざしを焼いたりして食べさせ、ベッドの下に寝起きして看病していました。だから、家事をするのも、身の回りの世話をするのも全然、平気なんですよ」
結婚は仕事の面でも新しい風を吹かせてくれた。最初の山手線デートで、風呂敷を広げた話が現実となったのだ。
「『レコード会社からデュエットソングを出さないか、という話がきてるんだけど、一緒にどうですか』なんて口説いたんです。そんな話なんて、本当はないのに(笑)。ところが、嘘から出た誠で、2023年2月15日、『凪の風景』というデュエットソングを発売することになりました」
前田さんは俳優が本業ではあるが、主演映画『看護婦のオヤジがんばる』の主題歌『ささやかな人生』(ビクターエンタテインメント)や、競作したデュエットソング『男と女のラブゲーム』(テイチク)など、これまで4枚のレコードやCDを出してきた。