「女房に合わせて、暮らしてやらなきゃケンカになりますから(笑)。それも宿命だったんだと思います。今の女房も、最後まで面倒をみるつもりですよ。でも、もし女房が僕よりあんまり先にいっちゃったらどうしよう、って心配。僕は40歳から10年おきに十二指腸潰瘍、翼状片、鼠径ヘルニア、帯状疱疹といろいろ経験してきましたけど、病気をするたびに元気になる気がして、死ぬなんて気が全然しないんですよ(笑)」
たしかに、とても元気そう。子や孫の存在も元気の源なのだろう。前田さんは前妻との間に男の子が4人いる。孫が5人、すでにひ孫も2人いるという。
主演映画『看護婦のオヤジがんばる』などもある(撮影/山口比佐夫)
「実は、お互い連れ子を伴っての結婚で、俳優になった次男・淳は前の女房の連れ子なんです。みんなに『似てないね』と言われても、前の女房の希望で明かせなくて、これまで本当に心苦しかった。僕はおしゃべりするのも好きだから、言えないことがあると胃が痛くなっちゃってね。そう、元気の秘訣といえば、おしゃべりも心がけています。どこへ出ても1時間はもたせられるように、と常にシミュレーションしています」
(後編に続く)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)