「同じ事務所に所属する女優・烏丸せつこさんのご主人が音楽プロデューサーなので『喉の調子がいいうちに出したい』お願いし、烏丸さん(山口カラス)作詞、杉本眞人さん作曲で、レコーディングしました。2023年は劇団俳優座養成所15期生になって60周年。女房と一緒に老人ホームや故郷・山口県防府市のホールへ出かけてって、歌とトークでみなさんに楽しんでもらう予定です。もちろんボランティアですよ。もうガツガツ稼ぐ年齢じゃないですから」
コロナ期間中の2020年3月、司会を務めていたクイズバラエティ番組『二代目 和風総本家』(テレビ東京系)が終了するなど余裕が生まれていたが、2023年は忙しくなりそうだ。
1971年に結婚した前夫人は
前田さんの横顔(撮影/山口比佐夫)
ところで、前夫人はどうしたのだろうか……?
「2021年8月に、79歳ですい臓がんで亡くなりました。2月に診断されて、半年でしたね……。急に『胃がもたれる』と言い出して、かかりつけ医に診てもらったら『すぐに大病院へかかってください』といわれ、翌日、大病院の診察を受けたらすい臓がんだ、と。すい臓がんは発見が難しく、見つかったときにはかなり進行してしまっているらしく、しかも女房の場合、手術ができない場所にがんができていました。入退院を繰り返し、抗がん剤治療を受け、一時は良くなったのですが……」
ちょうど新型コロナウイルス流行と重なり、見舞いができないときもあった。
「病院まで行っても、建物には入れない。病院の駐車場に車を停め、携帯電話で容体を聞いたりしていました。最後はそばで見送れたのですが、見守れたのは僕だけ。『みんなに感謝だね』と言って息を引き取りました」
1971年に結婚した前夫人は、15年ほど前からパニック障害や更年期障害を患っていたという。電車に乗れない夫人のために、前田さんは夫人を車で送迎したり、日に3度の食事を用意したりするなど、仕事をしながら、家に帰れば夫人に寄り添って暮らしていた。