宮崎:彼らにとって、選挙は一種の「祭り」なんだよ。
小川:逆に言えば、選挙以外に学会員を動員して熱狂させる機会がない。
宮崎:学会自体が弱体化しつつあるなか、現在の体制や体質は見直さざるを得ないでしょうね。
他方、統一教会は来たる統一地方選において、「手のひらを返した」自民党が自分たちの協力なしでは沈んでしまうことを見せつけようとしていると思いますね。教会信者による助力の不在によって存在感を際立たせようというわけです。
鈴木:すでに教団側は地方議会や地方議員に「家庭連合は反社会的団体ではありません」という陳情書をどんどん送っている。ある種の脅しです。
小川:票目当てに、宗教団体とズブズブの関係になる政治家の節操のなさも問題です。ある保守系の地方議員は「僕はね、宗教5つ入っている」と言っていた。思想信条がないんですよ。
(第3回に続く)
【プロフィール】
宮崎哲弥(みやざき・てつや)/1962年生まれ、福岡県出身。評論家。慶應義塾大学文学部卒業。政治哲学、生命倫理、仏教論を主軸とした評論活動を行なう。著書に『仏教論争』(ちくま新書)、『教養としての上級語彙』(新潮社)など多数。
小川寛大(おがわ・かんだい)/1979年生まれ、熊本県出身。早稲田大学政治経済学部卒業。宗教業界紙「中外日報」記者を経て独立、『宗教問題』編集長に。著書に『神社本庁とは何か』(K&Kプレス)、『南北戦争』(中央公論新社)など。
鈴木エイト(すずき・えいと)/滋賀県出身。日本大学卒業。ジャーナリスト。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。カルト宗教問題を扱う日本脱カルト協会に所属。著書に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号