左から正代、時津風親方、元関脇・豊ノ島の井筒親方、豊山(時事通信フォト)

左から正代、時津風親方、元関脇・豊ノ島の井筒親方、豊山(2022年撮影。時事通信フォト)

 2011年に相撲協会の公益財団法人化に向けた改革案を答申した「ガバナンスの整備に関する独立委員会」で副座長を務めた慶応大学商学部の中島隆信教授はこう証言する。

「当時、大関経験者の親方に話を聞きましたが、『新たに部屋を興し、年寄株を手に入れるのに億単位の借金をして、返すのに精一杯』『後継者に売ったカネで老後の生活費を賄うしかない』と言っていた。株の売買を繰り返すことで成立する構造になっていて、改革はなされなかった。だから、豊ノ島のように株が手に入らずに退職を選ばざるを得ないケースが出てくるのです」

 公益法人化の際に3年の猶予期間を設けたうえで借り株も禁止されたが、「それも表向きだけで借り株の親方は豊ノ島以外に何人もいる」(前出・若手親方)という状況だ。

第2回に続く

※週刊ポスト2023年1月27日号

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