芸能

NHKドラマも話題 純愛、愛憎、陰謀…「大奥」がたびたび映像化される理由

デビューの長男を支えた“2人の父”がいた

NHK『大奥』が話題の冨永愛

 これまで幾度となくドラマ、映画化されてきた『大奥』。今、NHKドラマでも放送され話題を集めている。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが過去の名作を振り返りながら、「大奥」作品の魅力について解説する。

 * * *
 NHK『大奥』が面白い。若い男子のみが罹患する奇病のために、女が将軍になった江戸時代を舞台に、第一話「八代将軍吉宗・水野祐之進編」では、美男3000人がひしめく大奥に入った貧乏旗本の息子・祐之進(中島裕翔)と、吉宗(冨永愛)の出会いと別れが描かれた。凛々しく気高い吉宗は、見事に大奥に新しい風を吹かせた。

 第二話「三代将軍家光・万里小路有功編」は、家光の乳母・春日局(斉藤由貴)によって、出家の身から無理やり還俗させられたお万こと万里小路有功(福士蒼汰)と初の女の上様となった家光の娘(堀田真由)の物語。実父に金で売られ、大奥を出るには「死して魂になるしかない」と春日に言われた有功は、自分の運命を恨む上様と少しずつ距離を縮めていく。しかし、彼を憎む者たちの執拗な攻撃はおさまらない…。

 大奥は、数多くの映画・ドラマの舞台になってきた。大奥の美女といえば、お姫様、くノ一(女忍者)と並ぶ、「時代劇女優三大主役」のひとつだった。三千人もの美麗な人間がたったひとりの上様の愛を奪い合う、ドラマチックな場所。純愛、悲恋、愛憎、陰謀、バトルにいびりに「開かずの間」の怨霊まで、なんでもアリで多彩な作品が生まれたのだ。

 映画『千代田城炎上』(1959年)は、恋人がいたのに、継母の企てで大奥に上がった千鶴(新珠三千代)の悲恋物語。いびりに耐え、体を張って出世していく千鶴。彼女を助ける武士が勝新太郎というのも、さすが昭和。また、1967年に公開された『大奥(秘)物語』は、大奥のリーダー的存在松島に山田五十鈴、お年寄浦尾に岸田今日子、運命を翻弄される女中たちに藤純子(富司純子)、小川知子など、トップ女優陣が勢ぞろい。

 この映画のキャッチコピーは、「髪がくずれます 裾が乱れます 帯がほどけます…上様、その手を離して下さいませ」。なかなかに刺激的だった。ドラマでは、家光をめぐる愛の争奪劇『徳川の夫人たち』(1967)や美空ひばりも出演した『徳川おんな絵巻』、オムニバス形式の『大奥83』も人気に。このシリーズの家光は沖雅也、吉宗は鹿賀丈史だった。

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン