「認知機能障害」などの副作用がある主な薬リスト
花粉症シーズンに注意
和田氏が指摘したように、コレステロール値を下げるために多くの人が飲む「脂質異常症治療薬」にも、その副作用が書かれている。
一般名シンバスタチン、販売名リポバスの添付文書の欄には〈認知機能障害(記憶障害、混乱等)〉とある。病院薬剤師としての勤務経験がある長澤氏は、処方薬により副作用の認知機能障害が現われたケースがあることを実感してきたという。
「脂質異常症治療薬のリポバスは意外な印象があるかもしれませんが、どこかの神経回路に作用した結果、認知機能障害が現われるのだと推測できる。私が病院薬剤師をしていた頃、実際に疼痛治療薬のリリカカプセルや抗精神病薬のエビリファイなどを処方されている患者さんで少し意識が朦朧としたり、ボーッとする人が数多くいました。
いずれも脳や神経に作用する薬なので、認知機能障害が起こる可能性があるのも頷ける。実際、服用後にボーッとするとか、記憶が曖昧になるなどの認知機能障害が現われている患者さんが多くいます」(長澤氏)
春先にかけて花粉症の症状緩和に多く用いられる抗アレルギー薬にも注目したい。
「服用により眠くなるなど、脳や神経に作用するタイプの薬は認知機能障害のような症状が現われるものがあります。花粉症の季節に飲む人が増える抗ヒスタミン薬アレジオンは、〈頭がボーッとした感じ、幻覚、幻聴〉などが副作用として記載されている。安くて人気のジルテックの副作用にある〈不随意運動〉も、認知機能障害に近いと言っていいでしょう」
しかし、高齢になるほど、認知機能の低下が認知症によるものか、薬の副作用によるものかを見極めるのは難しい。長澤氏は、「最近、物忘れが激しくて……と思ったら飲んでいる薬について確認すべき」と助言する。
「今回のリストにあるような薬を服用していないか、今一度確認してみてください。もしかしたら、その症状は薬の副作用によるもので、人によっては薬をやめることで認知機能が戻るかもしれません」(長澤氏)
認知機能障害は本人が自覚しにくいため、家族など周囲の“気付き”が重要になる。少しでも違和感を覚えたら医師と相談のうえで服用する薬を見直す選択肢がある。
※週刊ポスト2023年1月27日号