菅氏自身、派閥の弊害を前述の『文藝春秋』2月号のインタビューでこう具体的に語っている。
〈とくに総裁選挙の時ですが、国民の負託を受けて当選してきた政治家が、理念や政策よりも派閥の意向を優先してしまうことです。(中略)総裁選で派閥の意向に反発すれば、閣僚や党役員のポストからはじくとか、従った議員と差をつけるとか、私はずっと疑問に思ってきました〉
菅氏の派閥解体に向けた動きは、「岸田降ろし」に向けて批判勢力を結集しやすくすることと、ポスト岸田の総裁選びをにらんだ仕掛けであることは間違いない。
反岸田勢力の本格蜂起はいつか。
岸田首相は防衛費増額の財源について、「国民に一定の負担をお願いせざるを得ない」と「所得税」「法人税」「たばこ税」の増税方針を決めたが、異次元の少子化対策を含めた財源問題は通常国会後の今年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)決定までにまとめることになっている。
それを見据えて、自民党ではこの2月から萩生田特命委員会で増税反対の議論が本格化する。
通常国会の150日間の会期は、与野党対決より、自民党内で反岸田の火が燃え上がる。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年2月3日号