現役時代は通算567本塁打を放った門田さん(撮影・杉原照夫)
野村克也、落合博満らの42歳シーズンと比較
門田は不惑の40歳で本塁打、打点の2冠王を獲得。そのオフ、南海がダイエーに身売りし、大阪から福岡への移転が決まる。関西でのプレーを希望した門田はオリックスに移籍。ブルーサンダー打線の4番として41歳の年も打率3割5厘、33本、93打点を残した。
「最近は選手寿命が伸びたとはいえ、今も40歳までプレーする選手は珍しいし、そのくらいの年齢になると当然下り坂になりますよね。昭和の名選手で言えば、王さんは40歳、長嶋茂雄さんは38歳で引退した。でも、門田さんは42歳の年に31発放っている。これは今も破られていない大記録です」
主な選手の42歳を迎えるシーズンの成績はこうなる。
野村克也(南海・1977年):127試合 2割1分3厘 16本 58打点
門田博光(オリックス・1990年):119試合 2割8分0厘 31本 91打点
落合博満(巨人・1995年):117試合 3割1分1厘 17本 65打点
山崎武司(楽天・2010年):141試合 2割3分9厘 28本 93打点
金本知憲(阪神・2010年):144試合 2割4分1厘 16本 45打点
和田一浩(中日・2014年):91試合 2割8分1厘 16本 65打点
「何月生まれだったかも考慮する必要があるでしょう。門田さんは2月生まれですが、山崎さんは11月生まれ、落合さんは12月生まれですから実質的には41歳のシーズンです。それでも、ホームラン数は門田さんが上回っており、バランスの良い成績を残しています。門田さんは44歳で引退するまで、40代の5年間で133本塁打を放った。この記録も1位です」
上記6人の40歳を迎えるシーズン以降のホームラン数は以下になる。
門田博光:133本(1988~1992年)
山崎武司:105本(2008~2013年)
金本知憲:82本(2008~2012年)
落合博満:75本(1993~1998年)
野村克也:66本(1975~1980年)
和田一浩:48本(2012~2015年)
「大記録を打ち立ててきた割に、王さんや野村さんと比べ、門田さんの野球人生は語られる機会が少なかった。40代で現役を続け、レギュラーでプレーしている時点で驚異的ですが、門田さんは40代で133本もホームランを打った。通算567本のうち、約4分の1を40代で記録した。それも、スポーツ科学が今より発達していない30年前のことですからね。昭和の頃、野球界には筋トレに否定的な見解を持つ指導者や選手が多かったですが、門田さんは当時から筋トレを取り入れていた。そうした先見性もあって、現代の選手を上回る成績を残せたのでしょう」
周りが否定しても、自分を信じて我が道を貫いた門田博光さん。大阪球場で描いた放物線は永遠にファンの記憶に残る。