「あいうべ体操」のやり方(イラスト/福島モンタ)
「地道に続けると、舌力がついて自然に口を閉じられるようになり、鼻で呼吸ができるようになります。筋力は衰えても鍛えることで強化できるので、積極的に取り組んでほしい」(今井医師)
コロナ前の普段通りの生活に戻すことが大事だというのは、みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太医師だ。
「基本的な感染対策を確実に行ないながら、行動様式をコロナ前に近づけたほうがいい。患者さんには以前のようにしゃべり、出歩き、遊べと伝えています。マスクをしたままだと声が届きにくいので、それを逆手に取って、大きな声でしゃべりましょう」
谷本医師はトレーニング以外にも、受けておくべき予防法があるという。
「予防法のひとつとしては、肺炎球菌ワクチンを接種することです。これは肺炎の原因に多い菌と戦うための免疫力を高めるワクチンで、誤嚥性肺炎対策としての効果も期待できます。2014年から65歳以上の人を対象に政府の補助金も出るようになったので、誤嚥性肺炎の予防のために絶対打ったほうがいいですね」
誤嚥性肺炎を引き起こす細菌には肺炎球菌以外にもあり、発症を完全に防げるわけではないが、肺炎全体の年間罹患者数のうちおよそ4分の1が肺炎球菌による肺炎とされている。予防するに越したことはないだろう。
コロナの予防に気を取られ、もうひとつの大きなリスクを見逃してはならない。
※週刊ポスト2023年2月3日号