ライフ

「勉強ができる子は東大より医学部に行くべきか」藤沢数希氏の解説

東大と医学部、どちらを選ぶべきか?(時事通信フォト)

受験シーズン真っ最中。東大と医学部、どちらを選ぶべきか?写真は東京大学(時事通信フォト)

 学歴競争を勝ち抜くためには、中学受験をするべきなのか、あるいは高校受験が得なのか。幸運にも子供が勉強ができた場合、正解は東大より医学部なのか。藤沢数希さんの『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書)は、学歴獲得の「コスパ」を追求すると同時に、中学から大学院までの受験制度や教育内容を俯瞰し、親と子が戦略的に取り得る選択肢を示す。受験シーズン突入にあたり、国内外の教育事情に詳しい藤沢さんに話を伺った。【後編】では、医学部人気の光と影、多様化する入試制度など、大学受験の現在地についてお届けする。

 * * *

平均年収は東大卒700万、勤務医1400万「医者になっておいたほうが得」は本当?

──現在の大学受験において、その後の人生に大きなインパクトをもたらす選択は、「医学部に行くかどうか」だと指摘されています。近年、医者人気によって、医学部の偏差値はますます上昇していると。

 年収の高さや社会的地位、また、職業の安定性という点からいうと、日本では医者になるのが得だからです。日本のサラリーマンの平均年収は、卒業大学の偏差値が高いほど高くなる傾向がありますが、その頂点の東大卒であっても平均すると700万円程度です。

 一方、厚生労働省のデータによると、勤務医の平均年収は1400万円程度と約2倍です。もちろんサラリーマンでも優良な大企業である程度出世すれば、勤務医の給料をうらやましいと思わないくらい稼げますが、それができるのはごく一部です。勉強のできる高校生が、医者になっておいたほうが得と考えることはとても自然なことでしょう。

 もちろん、日本経済全体としては、理系の最優秀層が、こうして老人医療の現場にどんどん吸い込まれていくわけで、研究開発が必要なメーカーなどの国際競争力が落ちている一因になっているとは思いますが、そんなことは受験生やその家族が考えるべきことではありません。また、医療に優秀な人材を配置して、医療を手厚くしたい、というのは民主主義の日本にあって、民意でもあるわけですから、尊重されなければいけません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン