国内

ワクチン後遺症患者を苦しめる経済的困窮 100万円単位の特殊な治療を行うクリニックも

(写真/アフロ)

ワクチン後遺症患者は症状のみならず経済的困窮にも苦しんでいる(写真/アフロ)

 すでに開始から2年以上が経過した新型コロナワクチンの接種。「集団免疫を得るために」「周りの人を感染させないように」──“世のため人のため”と銘打って大々的に接種がすすめられてきたが、さまざまな問題が噴出している。特に深刻なのは接種後に体調が悪化し、日常生活がままならなくなる「ワクチン後遺症」だ。

 40代のA子さんは接種直後に手がしびれ、しばらくすると咳が出始め、やがて体の痛みやしびれが全身に広がり、喉がふさがっていくのを感じた。接種から1年半近くだった現在も原因がわからない症状に苦しんでいる。

 30代のB美さんは、2回目接種の2週間後から少し感じていた胸の痛みや息苦しさに加えて胃が働かなくなり、2週間で体重が7kgも減った。

 40代のC子さんは、一昨年6月に2回目接種をした当日から人生で感じたことがないほど体調が悪化し、倦怠感とふるえと痛みがひどくて、1秒たりとも同じ姿勢でいられない状態になった。極度の倦怠感で寝たきりになり、しばらく休息すると体力が回復するが、そのうちまた悪くなることを繰り返している。

 八方ふさがりの状況にさらに追い打ちをかけるのが、経済的な困窮だ。夫婦共働きで暮らしていた前出のA子さんは接種後の体調不良で働けなくなり、家計は瞬く間に火の車となった。

「最初は有給で仕事を休みましたが、体調の回復が見込めず、復帰が難しかったため結局退職せざるを得なかった。

 収入が減ったうえに医療費の負担が大きくなって首が回らなくなり、コロナ特例の緊急小口資金などで計80万円を借りました。借金なのでいずれ返済する必要があるのに、いまだに働けるめどは立ちません。私を含め、ワクチン後遺症の症状は長く続く人が多い。SNSでつながっている後遺症患者の中には『貯金が尽きた』と嘆く人もいます」(A子さん)

 生活の困窮に拍車をかけるのは、高額な治療費だ。ワクチン後遺症の取材を続けるジャーナリストの鳥集徹さんがいう。

「大病院で治療を受けられずに渡り歩いた挙げ句、高額な自由診療に走る患者もいるようです。医師や医学界がワクチン後遺症を認めないため患者が医療難民になり、“後遺症ビジネス”にからめとられる恐れがある。後遺症の治療費として、合計で100万円単位になる特殊な治療を行っているクリニックもあります」(鳥集さん)

 健康な体や日常が奪われたうえに周囲から理解されずに苦しむ後遺症患者も少なくない。後遺症に苦しみ、手さぐりの状態でSNSを使って治療法を探したB美さんは、同じ悩みや苦しみに直面している患者のために、インターネット上で情報収集や意見交換をする「新型コロナワクチン後遺症患者の会」を設立。発信を行っていた。しかしそれを見とがめた親族から、面と向かってこう言われてしまう。

「あなたはワクチンで助かった人のことを考えていない。自分勝手なのよ!」

 B美さんが静かに語る。

「もちろんワクチン後遺症についてさまざまな意見があることや、打っても症状が出ない人がいることはわかっています。私は自分たちが被害を受けた事実を伝えたいだけ。にもかかわらず『反ワク』とカルト扱いされることもあります。しかも、間近で私が苦しんでいた様子を見ていたはずの家族に否定されるのはあまりにもつらいです」

※女性セブン2023年2月16日号

感染者数とワクチン接種率

感染者数とワクチン接種率の推移

ワクチン後遺症に関するアンケート

ワクチン後遺症に関するアンケート

関連記事

トピックス

公選法違反の疑いで刑事告訴され、書類送検された斎藤知事(左:時事通信フォト)と折田楓氏(右:本人SNS)
“公選法違反疑惑”「メルチュ」折田楓氏の名前が行政SNS事業から消えていた  広島市の担当者が明かした“入札のウラ側”《過去には5年連続コンペ落札》
NEWSポストセブン
コンサートでは歌唱当時の衣装、振り付けを再現
南野陽子デビュー40周年記念ツアー初日に密着 当時の衣装と振り付けを再現「初めて曲を聞いた当時の思い出を重ねながら見ていただけると嬉しいです」
週刊ポスト
”薬物密輸”の疑いで逮捕された君島かれん容疑者(本人SNSより)
《28歳ギャルダンサーに“ケタミン密輸”疑い》SNSフォロワー10万人超えの君島かれん容疑者が逮捕 吐露していた“過去の過ち”「ガンジャで捕まりたかったな…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
反論を続ける中居正広氏に“体調不良説” 関係者が「確認事項などで連絡してもなかなか反応が得られない」と明かす
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
「全てを話せば当然、有罪となっていたでしょう」不起訴になった大物地面師が55億円詐欺「積水ハウス事件」の裏側を告白 浮かび上がった“本当の黒幕”の存在
週刊ポスト
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
「お笑い米軍基地」が挑んだ新作コント「シュウダン・ジケツ」(撮影/西野嘉憲)
沖縄のコント集団「お笑い米軍基地」が戦後80年で世に問うた新作コント「シュウダン・ジケツ」にかける思い 主宰・まーちゃんが語る「戦争にツッコミを入れないと」
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン