飲食店などでの迷惑行為を動画で撮影してアップする行為が相次ぎ、社会問題化している。回転寿司大手・スシローでの男子高校生による「湯呑みなめ回し」や若い女性の「調味料混入」、大手カラオケチェーン「まねきねこ」でのスプレー缶を使った“火炎放射”、うどんチェーン「資さんうどん」での共用スプーンでの“天かす頬張り”──共通するのは、個人が特定されうる形で顔を出して迷惑行為を行っている動画をアップしているということだ。
スシローは「湯呑みなめ回し」問題で、高校生と保護者の謝罪を拒否して「刑事と民事の両面から厳正に対処する」としている。また、各種報道でも、本人にとってはイタズラのつもりでも重大な犯罪になりかねないこと、民事で多額の損害賠償につながりかねないことなどに言及している。その報道を見ていないのか、はたまた実感をもって理解できないのか、迷惑行為動画が相次いでアップされているのが実態だ。
実際に、若者たちは一連の迷惑動画をどう見ているのか。Z世代が数多く集まる渋谷で聞いてみると、多種多様な声が聞こえてきた。
「しっかり罰せられるべき。他の人に迷惑をかけるなんてありえない」
「あんな動画が面白いと思っているなんて不愉快」
「親に、“絶対に同じようなことはするな”と言われた。するつもりもないけど、(身元が)晒されたら怖いから、絶対やらない」
「(使用済みの楊枝を元に戻す)つま楊枝の動画が回ってきて、見ました。ありえない」
「(カラオケ『まねきねこ』での火炎放射動画について)火事になったら人が亡くなるかもしれない。その責任が取れるのか」
ほとんどが迷惑行為に批判的なコメントだったが、その行為が招く結果の重大性については、理解が及ばない若者も少なくないようだ。
「名前が特定されちゃったら、将来就職に困ったりするんですよね。でも、少年法で守られるから大丈夫なんでしょうか」
「訴えられても、少年法があるから逮捕されるわけじゃないでしょ。(Q:民事で訴えられれば多額の損害賠償をしなければならないかもしれないが?)民事ってあんまりわからないです」
そもそも少年法について理解が及ばず、“どんな不利益からも守ってくれる”という思い込みがあることがうかがえる。詳細は省くが、少年には大人と同じ「刑罰」ではなく「保護処分」が下されるといった違いや手続き上の違いはあるものの、14歳以上だったら逮捕されることもありうるし、もちろん将来の就職などで不利になることから守ってくれるものではない。