「おしゃべり」ができる鳥もいる。それは日常の挨拶にとどまらず、コミュニケーションを取ることができるレベルだという。2012年には、迷子のセキセイインコが、保護をした警察官に飼い主が住む家の住所を正確に話したのをきっかけに、3日ぶりに戻るという“事件”もあった。
さらに、鳥は長生きであることも追い打ちをかける。
「文鳥は10年以上、オカメインコは30年以上生きることもあります。“家族が亡くなったときよりもつらい”と言う人も少なくないですよ。
また、ショックを受けるのは人間の側だけではないんです。鳥の側も、一緒に暮らしていた大好きな飼い主を亡くすと弱ってしまい、時には死んでしまうこともあります」(細川さん)
ロスを加速させるのは、犬や猫ほどメジャーなペットではなく、共感してくれる人が少ないという側面もある。
「鳥の場合は、犬や猫に比べて家族の一員という感覚が根づいていない。ひどい場合には“どうせ鳥でしょ?”などと言われることもあり、それがペットロスを悪化させることもあります」(横山さん)
悲しみの症状を少しでも軽くするために、できることはあるのだろうか。
「鳥の場合、通院先が限られますから、いいホームドクターを見つけておきましょう。生前の愛鳥をよく知っている獣医師に、亡くなった後に声をかけてもらうだけでも、だいぶ救われるのではないでしょうか」(阿部さん)
また、人間の場合と同様、生前に葬儀社や葬儀場の目星をつけておくことも大事だ。
「慌てて火葬した結果、お別れまでの時間が短すぎて後で引きずるケースがあります。亡くなってからお別れのセレモニーまでの間、体をなでて話しかけてあげて感謝の気持ちを伝える。きちんと保冷処置をしてあげる。そうやって過ごす時間が、飼い主の気持ちを落ち着かせてくれることにもつながるのです」(阿部さん)
細川さんは、自身の経験を振り返る。
「最初に飼って11年生きてくれたオカメインコは、4年くらい闘病生活をしたんです。病院と仕事場を行き来する生活でした。喪失感は本当に大きくて、数か月後に夢に出てきてね。その子の声とか体温を感じて寂しくなって……。
私の場合は、ほかの子たちのお世話をするうちに、少しずつペットロスが薄れていきました。無理して新しく飼う必要はないと思いますが、複数飼って“仕事”を増やすことは結果的にペットロスを軽減することにつながるかもしれません」
鳥は、どこまでも人間を魅了する。鳥のペットロスを軽んじてはいけない。
※女性セブン2023年2月23日号