小川さんは級統一教会信者でない夫(写真右)と結婚した
いまになって思えば、母は養子に出すことを念頭に子どもを産んでいたとしか私には思えません。
当時の母についてはっきり覚えているのは、妹を養子に出してもういなくなってからも、母が赤ちゃんのベッドが置かれていた部屋でお乳を搾り続けていた場面です。もうその部屋には赤ちゃんはいない。その部屋の床にしゃがんで、ひとりで長い管のついた手動の搾乳器を使って母乳を搾っていました。母乳が止まらずに、胸が張ったからなのでしょう。母は悲しむような言葉や姿を私たちに見せたことは一度もありませんでした。
小学生の私は自分の胸に搾乳器を当てて搾ってみましたが、何も出ないんだと気づきました。母のその姿はいまも忘れられません。
(第5回につづく。第1回から読む)
※週刊ポスト2023年3月10・17日号