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漫画家・カレー沢薫さんが脱毛ブームを分析「“VIOナシ男”と“スネ毛あり女”こそ本物」

脱毛にはさまざまな意見がある

脱毛にはさまざまな意見がある(写真はイメージ)

 男性の体毛処理が当たり前になる一方、脇毛の処理を拒む女性も増え、「毛」の常識は日々、変わりつつある。漫画家・コラムニストのカレー沢薫さんは、こういった状況についてこう語る。

 * * *

 化粧をやめる女が増えている一方で、脱毛など美容に金をかける男が増加しているらしい。単純に考えれば、女は「化粧をするのは当たり前、すっぴんなんて片チチを出して出歩くようなもの、恥を知れ」、男は「美容に気を使うなんてタマなし野郎のすること、男が体に塗っていいのはローション相撲のローションだけ」という「こうあるべき姿」から脱しようとしていると言えるだろう。

 つまり、いきなり男が美容に目覚め、女が大自然の呼び声に応え出したわけではなく「いままでそうしたかった勢が本当にそうし出した」という多様化の表れと言える。

 ただ1つ言っておきたいのが「脱毛をする男」を「秘めたる美容意識を解放した男」として書くのは大きな間違いかもしれないという点だ。

 美容の中でも「脱毛」というカテゴリーは特殊であり、もちろん美容意識が高い奴がやることでもあるが、逆に意識がマントルまで達している奴がやることでもある。実は私もワキは脱毛しているし、昔まぶたを二重に整形し、アートメイクもやった。これだけ聞くと美容意識高子だが、現在私はスネ毛をどこまで伸ばせるかチャレンジ中であり、現在2.8センチ、やっと3センチの壁に辿りつくかというところだ。

 私がやったことはすべて根底に「死ぬほど面倒くさい」というスピリットがある。定期的に毛を剃るのは面倒くさい、化粧するたびアイプチなんてやっていられねえ、毎回眉毛を描くなんて正気の沙汰ではない──そういう、美容に対しコツコツした努力が嫌な奴が手を出しがちなのが脱毛や美容整形だったりするのである。

 ちなみにアートメイクは、眉毛やアイラインの入れ墨を入れるようなものであり、化粧をするのが面倒すぎて「目の際」という一歩間違えたら大変なことになる部分に針を刺すことすら辞さない極道がやることだ。本当に意識が高い奴は「眉毛は流行が変わるからアートメイクはしない」と言う。それを考えると、おそらく男が最初に脱毛するのは「ヒゲ」だろう。

 いくら男は自然体がよいといっても、ヒゲは毎日剃っている人が多いだろうし、それを「死ぬほど面倒くさい」と感じている男も多いはずだ。よって現在の「脱毛する男」も一定数は「ただ面倒くさいのが嫌勢」であり、脱毛する男が増えている=男の美容意識が高まっているとは一概には言えない。

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