もし、ヒゲを脱毛した後、手足など、見えない部分まで脱毛し始めたとしたら本物である。つまり、男の美容意識の高まりを表現したいならこの企画のタイトルは「VIOを脱毛する男」にした方がいいだろう。対する女も「化粧をしない」だけでは消極的なので「スネ毛を伸ばし出した女」という能動感を出してほしいところだ。
しかし、化粧やヒゲ剃り同様に「こうあるべき」という「面倒くささ」から解放されたいという点では共通していると言える。人間はこうやってあまたの「面倒くさい」を乗り越えていく生き物なのだろう。
【プロフィール】
カレー沢薫(かれーざわかおる)/漫画家、コラムニスト。シュールな作風が人気。2021年『ひとりでしにたい』(講談社)が文化庁メディア芸術祭のマンガ部門優秀賞を受賞。『なおりはしないが、ましになる』(小学館)ほか著書多数。
※女性セブン2023年3月2・9日号