首相官邸「チーム岸田」の陣営(写真/時事通信フォト)
伝えた瞬間に漏れる
司会:日経の雨宮報道の後、次期総裁に植田和男氏が内定したサプライズ人事は各紙ほぼ一斉に報じ、国会で人事情報の漏洩だと問題化した。
記者D:うちの総裁候補者リストに植田さんの名前はなかった。誰が総理に推薦したのかいまだによくわかっていません。
記者B:うちもノーマークだったからびっくりした。ただ、日銀総裁人事については木原誠二・官房副長官が1人でずっと動いていた。総理も知らず、彼にしかわからない選考があったと聞いている。岸田さんは「総裁人事は自分が決めた」と胸を張っていたけど、実際は木原さんが選んだようなもの。総理は最近まで「雨宮じゃない」ということしか知らされてなかった。
記者A:政治部記者の間では、「岸田さんが与党幹部に伝えた瞬間に情報が漏れる」という認識。しかも、植田さんは内定報道段階でテレビの取材も受けていた。官邸の幹部は「なんでこんな段階で本人が取材に応じているんだ!」と激怒していた。この政権の情報統制はどうなっているんだと思う。
記者D:自民党幹部も「喋りすぎだ」とブチ切れていましたよ。野党から情報漏洩を追及されるのは明らかなのに、火に油を注ぐようなものだったから。松野博一・官房長官が議運で野党に釈明させられていました。
記者A:日銀担当の記者たちは、あんなに口が軽い総裁なら、これから日銀の情報が取りやすくなると舌なめずりしているよ(笑)。
記者C:それ以上に、植田さんが内定した途端に、自民党からスキャンダル情報がバンバン流れたことに驚きました。銀座で豪遊していたとか、女性スキャンダルが出そうだとか、自民党の議員たちがペラペラ噂しているのを見ると、政権を守る気はないなという印象です。
記者D:植田次期総裁の人物像については官邸も危機感を覚えているようで、植田内定が報道された日には、内調(内閣情報調査室)の担当者が官邸に20回くらい入ったと聞いている。
(第2回につづく)
※週刊ポスト2023年3月10・17日号