漫画原作をドラマ化するキモは?

原作の読後感を映像ならではの表現で追求

正社員になり「ものづくりに集中できるようになりました」

『チェリまほ』、『うきわ ─友達以上、不倫未満─』(2021年)、そして『すきやき』と、これまで本間Pが担当した作品には漫画原作が多い。話を聞くと小説も漫画も大好きで、まずはその作品のファンであることから企画が始まるという。

「原作のある作品は、その世界観を大切にしながらドラマを制作したいと思っています。ただ漫画、小説とそれぞれに確立された世界観で、紙を通して100%の表現をされているはず。映像もそこをなぞるだけだと、視聴後と読後の感想が変わってしまうことがあると思います。なので映像は映像表現のベストを考えて、原作の読後感を映像でも! を目指して作っています」

(c)谷口菜津子・新潮社/「今夜すきやきだよ」製作委員会

第9話より(c)谷口菜津子・新潮社/「今夜すきやきだよ」製作委員会

 陰で努力を重ねつつ、本間Pは2022年にテレビ東京の正社員となった。幼い頃は「昼ドラ」が大好きだったという少女が、名実ともに夢を叶えたのだ。派遣から正社員となり、どんな変化があったのか。

「正社員になってですか? うーん……本音を言えば経済的なことは大きいです。大事ですよね。それまで『今日使えるお金はここまで』と、いつもセカセカしていました。それがなくなって『今月はいくら貯金しようか』と考えられるようになったのは精神的に大きいです。ものづくりに集中できるようになりました」

 本間Pがドラマの世界で働くことを志した時代と比較すると、テレビを取り巻く状況は激変した。視聴者のテレビ離れが叫ばれる昨今、彼女はどのように感じているのか。

「今、テレビドラマを見ることが一つの贅沢になっているのかなと思います。スマホでTikTokを見れば、10秒で刺激が受けられるような、インスタントな感動があふれている。ドラマは観たいと思ったら放送時間も長いし、忙しくて疲弊した現代人にはなかなか……難しいですよね(笑)。だからテレビから離れていく事情は理解できます。だけど、届くものは届く。届けるということを諦めずに、何ができるのか考えていきたいと思います」

 異色の経歴を持つ、若きドラマプロデューサーの今後に期待したい。

【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/出版社勤務後に独立、エッセイ、コラムの執筆、編集、ライター、プロモーション業などが主な職業。著書に『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 つながる機能が増えた世の中の人間関係について』(WAVE出版)、『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)がある。静岡県浜松市出身。Twitter:@hisano_k

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