アメリカでもPFAS汚染は社会問題になり、規制が順次強化されている。昨年6月、アメリカの環境保護庁が発表したガイドラインでは、PFASのうち特に毒性が強いPFOAとPFOSはこれまで水道水1Lあたりの含有量は合計70ngまで安全だとしてきたが、前者は0.004ng、後者は0.02ngまでと2000倍近く厳しくするとした。米政府は「最新の科学的見地を踏まえ、生涯にわたって摂取し続ける影響を考慮し決定した」「ゼロに近い量でも健康に悪影響を及ぼす可能性がある」と説明した。
しかし、日本の対策は遅れていると言わざるを得ない。環境省と厚生労働省は暫定指針値として、PFOSとPFOAの合計値を1Lあたり50ngにしている。
「各国で基準値を下げることになったのは、PFASによって子供の免疫への影響やワクチン接種後に抗体ができにくくなったことによります。日本の基準値は、子供たちを守るのに充分だとは言えません」(植田さん)
根木山さんも言い添える。
「アメリカはバイデン政権になりPFASが有毒であると認定し、土壌汚染させた人に原状回復しなさいと命令を出せるようになった。さらに、飲み水の規制値を厳しくするため、強制力のある規制値を作ろうとしている。しかし、日本では調査すら充分にやっておらず、強制力のある規制値がない。すぐに水質・土壌・血中濃度の規制値を定めることが必要です。日本はあまりにも遅れています」
※女性セブン2023年3月16日号