ライフ

『モナ・リザ』は何がスゴいのか、『最後の晩餐』の席順はどう決まるのか…有名絵画の奥深さに迫る

レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ 1503~1505年頃 油彩 板 79.4×53.4cm ルーヴル美術館 パリ(C)PPS通信社

レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ 1503~1505年頃 油彩 板 79.4×53.4cm ルーヴル美術館 パリ(C)PPS通信社

 古今東西の名画約360点を紹介する絵画図鑑『小学館の図鑑NEOアート 図解 はじめての絵画』が発売即重版、早くも10万部突破で話題になっている。子ども向けとあなどるなかれ。名画がユニークな切り口で解説され、謎解き感覚で鑑賞のポイントを押さえていけるのだ。頭をやわらかくして「絵画の世界」へ飛びこもう。【前後編の前編。後編を読む】

『モナ・リザ』はここがスゴい!

【レオナルド・ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』(1503~1505年頃)
 世界で最も有名な絵画レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』(1503~1505年頃)。この女性は誰なのか。微笑んでいるような、いないような、このあいまいな表情に隠された心情は500年以上の謎として語り継がれている。名画の誉れを集め続けるこの作品は、どこがスゴイのか。

【1】線で描かないから不思議な表情になった

線で描かないから不思議な表情になった/レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ 1503~1505年頃 油彩 板 79.4×53.4cm ルーヴル美術館 パリ(部分図)(C)PPS通信社

レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ(部分図) 1503~1505年頃 油彩 板 79.4×53.4cm ルーヴル美術館 パリ(C)PPS通信社

「モナ・リザ」に描かれた女性の表情があいまいに見えるのは、女性の顔の輪郭を描くために“線”が用いられていないから。ダ・ヴィンチは実際の顔にはない線を用いず、“明るさ”や“暗さ”“色彩”を変化させることよって描いている。この描き方では、はっきりとした表情を表わすのは難しく、あいまいで不思議な表情に見える。

【2】途切れることなく変化し続ける自然の法則

途切れることなく変化し続ける自然の法則/レオナルド・ダ・ヴィンチ 流れる水の研究(部分図) 1509~1511年頃 ペン インク 紙 29×20.2cm ウィンザー城王室図書館

レオナルド・ダ・ヴィンチ 流れる水の研究(部分図) 1509~1511年頃 ペン インク 紙 29×20.2cm ウィンザー城王室図書館(C)PPS通信社

【レオナルド・ダ・ヴィンチ『流れる水の研究(部分図)』(1509~1511年頃)】
「モナ・リザ」の背景には、水が川を流れたり空で水蒸気になったりして変化し続けている様子が描かれている。ぐるぐると渦巻く水の流れをスケッチするなど、ダ・ヴィンチは水流を観察・研究して描くことで「自然は途切れることなく変化し続ける」という法則を発見し、風景の中に描いた。

【3】人と自然は同じ法則で成立していることを伝えた

人と自然は同じ法則で成立していることを伝えた/レオナルド・ダ・ヴィンチ 人体均衡図(ウィトルウィウス的人体) 1490年頃 水彩 メタルポイント ペン インク 紙 34.4×24.5cm アカデミア美術館 ヴェネツィア

レオナルド・ダ・ヴィンチ 人体均衡図(ウィトルウィウス的人体) 1490年頃 水彩 メタルポイント ペン インク 紙 34.4×24.5cm アカデミア美術館 ヴェネツィア(C)PPS通信社

【レオナルド・ダ・ヴィンチ『人体均衡図(ウィトルウィウス的人体)』(1490年頃)】
【2】で発見した自然の法則に基づいて、ダ・ヴィンチは明暗や色彩を途切れることなく変化させて女性を描いている。女性と背景の風景を同じ法則で描くことによって、絵全体で、人と自然が同じ法則で成立していることを伝えようとしたのだろう。この絵では、人と、自然を含めた世界そのものが同じ法則で成り立っている考えをスケッチした。

【4】聖母とは違い人の心の動きが描かれている

聖母とは違い人の心の動きが描かれている/マザッチョ 「聖ジョヴェナーレ祭壇画」 玉座の聖母子と二天使(部分図) 1422年 テンペラ 板 108×65cm マザッチョ宗教美術館 カッシャ・ディ・レッジェロ

マザッチョ 「聖ジョヴェナーレ祭壇画」 玉座の聖母子と二天使(部分図) 1422年 テンペラ 板 108×65cm マザッチョ宗教美術館 カッシャ・ディ・レッジェロ(C)PPS通信社

【マザッチョ『「聖ジョヴェナーレ祭壇図」王座と聖母子と二天使(部分図)』(1422年)】
 今から500年以上前の「モナ・リザ」が描かれた時代では、この絵のように幼いキリストを抱いた聖母マリアは厳かで堂々としているが、心の動きや表情は感じられない。「モナ・リザ」のモデルは不明だが、いかめしい聖母とは違って人の自然な心の動きが伝わってくる。

関連記事

トピックス

シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン