大谷の顔がプリントされたシャツを着て応援するファンも(共同通信社)
「大谷は14才の頃、第2回WBCの日本代表の活躍を見て胸を躍らせていました。特に、決勝戦でのイチローのタイムリーが記憶に残っており、いつか自分もここでプレーしたいとかつて語っています。彼にとってWBCは憧れの舞台でしたが、2017年の第4回大会はメンバーに内定しながら右足首の故障で辞退した。投手では無理でも、打者として出場できる道をギリギリまで探った末の苦渋の決断でした。
メジャーでも二刀流で結果を残しながら、所属するエンゼルスは5年連続でプレーオフに進出していません。チームとしての勝利に飢えた大谷だけに、何としてもWBCで世界一になるとの気持ちが強く、今大会に向けて急ピッチで体を仕上げてきました」
他方で大谷は、プレッシャーを楽しんでいる面もある。
「過去に大谷は“プレッシャーは自分を成長させてくれる”と話していました。彼は自分が進化したいという思いが強く、そのために野球を突き詰めていくのが楽しいのでしょう。彼は決して才能だけではなく、努力でいまの地位を築いた選手です。以前、“二刀流は大変じゃないですか?”と素人のような質問をしたときも、大谷は“楽しいですよ”と満面の笑みでサラッと言っていました」(スポーツ紙記者)
中学時代から憧れてきた“晴れ舞台”であり、さらなる成長が期待できる半面、WBCは出場にリスクも伴う。スポーツライターの友成那智さんはこう話す。
「大谷は今年が契約最終年で、WBCをきっかけにけがでもしたら大損害です。実際に第2回大会で熱投を見せた松坂大輔(42才)はその後、故障続きで別人のようになってしまいました。大谷は700億円の大型契約を結ぶ価値がある選手ですが、WBCでけがをしたら評価が半額以下に激減する恐れがあります」
莫大なリスクを負ってでもWBC出場に踏み切ったのは、師弟関係にある栗山英樹監督(61才)の存在もある。日ハム時代、多くのプロ野球OBやコメンテーターが二刀流に懐疑的な目を向ける中、当時日ハムを指揮していた栗山監督は大谷の可能性を疑わず、二人三脚で時間をかけて二刀流を実現させた。
「その栗山さんが侍ジャパンの指揮官になり、昨年8月には自らアメリカまで足を運んで大谷に会いに来た。大谷がWBC出場を決めたのは、そうした栗山さんへの恩義を感じた面もあるかもしれません」(友成さん)
昨年7月、大谷はWBC出場に前向きな発言をした上で、栗山監督をこう評した。
「自分を理解してくれるかたなので、やりやすいかなと思いますし、その人と一緒に頑張りたいなという気持ちにもちろんなると思う」
※女性セブン2023年3月23日号