『炎の体育会TV』の司会を務める今田耕司
世界大会が盛り上がる一方で、スポーツバラエティは以前ほどの注目を集めることができていません。たとえば、「オリンピックやサッカーワールドカップの終了後に選手たちを招いて放送する特番ですら高視聴率を獲れるとは限らない」と言われるほど、スポーツバラエティを取り巻く状況は難しくなっています。
現在の視聴者が見たいのは、トップアスリートたちの真剣勝負や日本人選手の活躍であり、彼らのトークやプライベートの姿には以前ほど惹かれないのでしょう。さらにスポーツバラエティの定番であり、『炎の体育会TV』が得意にしている“アスリートVS芸能人”という企画が以前ほど注目を集めないことも、視聴率低迷の一因と言われています。
また、各競技の結果を速報で伝えるスポーツニュースが週末のみに留まり、平日に放送される報道・情報番組のスポーツコーナーが短くなったことも、視聴者の世界大会至上主義を裏付ける現象の1つでしょう。
ゴールデンタイム返り咲きは厳しい現実
テレビ業界では、歴史が長く、それなりにファンのいるジャンルの番組は、「視聴率が多少下がっても終了させず、休日の日中や深夜に移動して放送を続ける」という傾向があります。
事実、スポーツ関連番組は、土日の日中に集中。プロ野球やゴルフなどの競技中継に加えて、土曜17時台にスポーツドキュメンタリーの『バース・デイ』(TBS系)と、今春からスポーツバラエティの『ジャンクSPORTS』、さらに日曜16時55分からスポーツバラエティの『サンデーPUSHスポーツ』(日本テレビ系、日曜16時55分~)などが放送されています。
この傾向はスポーツ関連番組だけでなく、ターゲット層の広いアニメも同様。現在、土日の夕方では、『クレヨンしんちゃん』『ドラえもん』(テレビ朝日系)、『僕のヒーローアカデミア』『名探偵コナン』(日本テレビ系)、『機動戦士ガンダムNT』(TBS系)、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』(テレビ東京系)が放送されています。
そこから見えるのは、「スポーツ関連番組やアニメでは視聴率が獲れないからゴールデンタイムは厳しい」という現実。この厳しい現実を覆して再びゴールデンタイムのレギュラー番組に返り咲くことは至難の業なのです。
ただ、『ジャンクSPORTS』『炎の体育会TV』に限らず、「大きな国際大会があるときは、ゴールデンタイム特番のスポーツバラエティが放送される」ことは確かであり、構成・演出次第で高視聴率の可能性も考えられるなど、決して「限界」ではないでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。