(C)2023映画『BLUE GIANT』製作委員会 (C)2023石塚真一/小学館

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畳み掛けるように迫りくる“ジャズってる”文章

〈映画の公開と時期を同じくして初の書き下ろし小説『ピアノマン』も刊行された。著者は映画の脚本を担当した南波氏である。漫画、映画には描かれなかった知られざるストーリーが浮かぶ。“音が聞こえてくる小説”と評判で、発売1週間で2度の重版が決定した〉

南波:普段から石塚さんの懸命な作画作業を目にして、映画ではひろみさんたち音楽チームの壮絶な録音を見て、小説を出すなら半端な作品は絶対だめだと思っていました。最初は大たち3人の物語の予定でしたが、担当編集のアドバイスもあって雪祈の物語に……。

石塚:何度も「無理だ〜」と心折れそうになってたよね(笑い)。冗談はさておき、『ピアノマン』のひとつの魅力は、音楽表現の豊かさだと思いました。南波さんは音楽の道の人じゃない。でもね、音の描写がとても“来る”んですよ。上原さんも感嘆していました。文章がね、ジャズってるんです。

南波:漫画『BLUE GIANT』の担当編集として、10年前から感動的なライブに触れる機会が増えていたというのはあるかもしれません。ただ、あの特別な音を文章でどう伝えたらいいのかと。やはりジャズのインプロ(即興演奏)と同じで頭で考えちゃいけないなという答えにたどりついて。ライブ描写はとにかく伝われと願いながら内臓をひっくり返すような気持ちで即興で書いていました。

石塚:小説をきっかけに、漫画を読んでくれる人、映画で初めて『BLUE GIANT』の世界を知り、小説、漫画を手に取ってくれた人、いろいろなかたがいることはうれしいですね。

『BLUE GIANT』

(C)2023映画『BLUE GIANT』製作委員会 (C)2023石塚真一/小学館

古くからある音楽が新しく感じられる

南波:映画も小説も、漫画原作を未読でも楽しんでもらいたいと思って作りました。一つひとつが独立した作品として成立していると思います。そして、たとえば『ピアノマン』を読んで、また映画が見たくなって。さらに漫画も読みたくなって。そんなふうにつながっていってほしいと思っています。

 でも、映画は公開期間がある程度決まっていますし、やっぱり映画館であのリアルな音楽を体験してほしい。なので、いまは急いで映画館に行ってほしいですね(笑い)。

石塚:作品を知らなかった若い世代の人たちが映画を見て、新しいものに触れたように感じてくれているそうです。ぼくはそれがいちばん爽快だなぁって。サックスもピアノもドラムもそうですが、ずっと昔からある音楽。ジャズ自体が新しく生まれた音楽ジャンルではない。それを、この作品を通して、新しく感じてくれている人たちがたくさんいることに、ジャズの可能性を感じるんです。

『BLUE GIANT』は“仲間の物語”。大は日本で、ヨーロッパで、アメリカで、人とつながって多くの人に助けてもらいながら成長していく。映画や漫画も、いろいろな周囲の人たちに助けてもらっているからこそ成り立っていると思うんです。そうした仲間たちと助け合うからこそ、新しいものが生まれていく。ぜひ見ていただきたいです。

『BLUE GIANT』

(C)2023映画『BLUE GIANT』製作委員会 (C)2023石塚真一/小学館


■映画『BLUE GIANT』
 ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大は、卒業を機に上京する。ある日、ライブハウスで出会った同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈を誘い、2人はバンドを組むことに。そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた高校の同級生・玉田俊二が加わり、3人は“JASS”を結成する。トリオの目標は、日本最高のジャズクラブ「So Blue」に出演すること。目まぐるしい躍進が続いていくかに思えた“JASS”だったが、思いもよらない出来事が起こり……。

原作:石塚真一『BLUE GIANT』(小学館「ビッグコミック」連載)
監督:立川譲 脚本:NUMBER 8 音楽:上原ひろみ
配給:東宝映像事業部

SPECIALプライスパック

SPECIALプライスパック

■「SPECIALプライスパック」&最新シリーズ8集発売中!
 映画に繋がる仙台編となる『BLUE GIANT』1〜4集をお得なパックにして発売中。特典に特製ポストカード12枚セットが封入されている。さらに、現在「ビッグコミック」で連載中のアメリカ編「BLUE GIANT EXPLORER」の最新第8集も好評発売中。
SPECIALプライスパック/1980円、「BLUE GIANT EXPLORER」第8集/825円

最新シリーズ8集発売中

最新シリーズ8集発売中

■発売即重版決定!
 沢辺雪祈は、言葉を覚えるより先に音を覚えた──。幼い頃、音が「色」に見えた少年は、やがてジャズの魅力に取り憑かれ、運命の仲間たちと出逢う。目指すは日本一のジャズクラブ「So Blue」での10代トリオ単独公演! ただ真っ直ぐに、ただただ真摯にピアノと向き合い続ける青年は、夢の舞台で磨き上げたソロを響かせ、喝采を博すことができるのか!?

『ピアノマン:《BLUE GIANT》雪祈の物語』

『ピアノマン:《BLUE GIANT》雪祈の物語』

『ピアノマン:《BLUE GIANT》雪祈の物語』著:南波永人/装画:石塚真一/定価:1870円。

【プロフィール】
石塚真一(いしづか・しんいち)/1971年生まれ、茨城県出身。20代でアメリカ留学、帰国後は会社員を経て、漫画家に転身。2001年「This First Step」で第49回「小学館新人コミック大賞一般部門」に入選。2003年「ビッグコミックオリジナル」増刊号にて「岳 みんなの山」の連載をスタート。2013年より「BLUE GIANT」を「ビッグコミック」(小学館)で連載。同作で第62回「小学館漫画賞(一般向け部門)」(2017年)、第20回「文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞」(2017年)を受賞。

南波永人(なんば・えいと)/漫画原作者・編集者・脚本家。『BLUE GIANT』の誕生から石塚真一氏と二人三脚で作品を世に送り出してきた。NUMBER8名義で『BLUE GIANT SUPREME』『BLUE GIANT EXPLORER』のストーリーディレクター、ほか『風の槍』『ABURA』の漫画作品の原作を務める。映画『BLUE GIANT』では脚本を担当。

撮影/平野哲郎

※女性セブン2023年3月23日号

『BLUE GIANT』

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『BLUE GIANT』

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『BLUE GIANT』

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『BLUE GIANT』

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