芸能

『BLUE GIANT』スペシャル対談、原作・石塚真一氏×映画脚本・南波永人氏「ジャズの可能性を感じるんです」

対談

原作・石塚真一氏×映画脚本・南波永人氏のスペシャル対談

 そのあまりの熱さは赤を通り越し、青く光り輝く星となる。そんな青色に輝く巨星を「BLUE GIANT」と呼ぶ──。シリーズ累計が1000万部を超える大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT』が、アニメーション映画化され、大きな反響を呼んでいる。公開から約1か月、口コミでは「奥歯を噛んで涙をこらえながら見た」「涙腺崩壊」「冒頭から泣いた」などその感動が伝わり、満席のシアターも続出。各シアターで音響にこだわった重低音体感上映や轟音上映などが設定され、リピーターも多い。「この値段で本格的JAZZ LIVE体験ができるなんて」と音楽ファンも多く足を運んでいるという。

“音が聞こえてくる漫画”として高い評価を集める同作品の映画化は困難の道のりであったというが、こだわり抜いた音楽は、BGMひとつ機械音を使用せず、劇中の音楽を担当している世界的ピアニストの上原ひろみの演奏も圧巻だ。

 大ヒット上映記念に、本誌・女性セブンは原作の石塚真一氏と、映画脚本を担当したNUMBER8(小説執筆時・南波永人)氏に、作品に込めた思いと見所を聞いた。

 * * *
石塚:“泣いた”という言葉は率直にうれしいです。最上級のほめ言葉のひとつじゃないかな。

 ジャズを聴いていると、涙が出ることがあるんですが、明確に理由はわからない。今回の映画もそうみたいなんです。大たちの一生懸命さとか真摯な姿とか、言葉では言い表せない何かを音楽から受け取って、自分の体験を通じてなぜか涙が出る。その感想はうれしかったですね。

南波:初めて出来上がった映画を見たときは、音を聴いた瞬間に、ふいに涙してしまうという……ちょっと不思議な体験でした。3回見たんですけど、3回とも泣いてしまった。ストーリーは知っているのに、なんなんでしょうね。

〈“音が聞こえてくる漫画”を実際に音楽を鳴らす映画として実現する難しさはあったはず。圧巻の音楽、上原ひろみとのタッグはどのようにして生まれたのか〉

石塚:上原さんに音楽をお願いすることはずっと前から決まっていました。上原さんは一生懸命で死んじゃうんじゃないかってくらい出し切るスタイルで、主人公……大とプレースタイルが近いんです。性格も主人公とリンクしている部分もあり、実際漫画で描く際からアドバイスももらっていました。

 今回の音楽もライブは圧巻なんですが上原さんは本当に細かい所までこだわってくれた。信号の点滅に合わせたり、玉田くんの歩調に合わせたりと、シーンごとに音楽のテンポも変えられていて。そうした細かいこだわりが映画から伝わってきて、感動しました。

南波:今回、ピアニストが右手を使えずに左手だけで演奏する場面があるんです。ものすごく鬼気迫る演奏で息をのむほどなんですが、実は(上原)ひろみさんが、実際に左手だけで演奏してくれたんですよ。本当に壮絶な録音現場でした。かっこいいを通り越して、人間業とは思えない演奏でした。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト