WBCで国歌斉唱する日本チーム。左端が栗山英樹監督、その右隣がヌートバー、中央が大谷翔平(AFP=時事)
ヌートバー選手のお母さんがメディアに出演すれば、当然のことだが日本をルーツに持つ選手だと意識する。「ニッポンだいすき」と韓国戦のヒーローインタビューで彼が叫べば、日本を大好きだと言ってくれるヌートバー選手のことを、ますます好きになる。彼のプレーを侍魂と表現し、彼の言動に日本らしさを見出して称賛する。そのどれにも”日本”があり、日本で無名だった外国人選手は今や我々の仲間で、日本代表チームを支える大切なメンバーだ。
ある研究によると、ナショナル・アイデンティティは、我々と彼らで区別できる対象に強い感情を持ちやすく、熱狂しやすいという。今のWBCに対するメディアや世間の熱狂ぶりは、これが影響しているのだろう。スポーツの試合はゲームだと頭でわかっていても、感情的には国対国の闘いで敵と味方に分かれる。応援することで一体感を持ち、勝利すれば侍ジャパンが強いというだけでなく、いわゆる”日本”が強くなったよう気になってくる。そんな感覚は錯覚なのだが、これがなんとも心地よく、応援にまた熱が入る。
日本に対する愛着や感情を強烈にアピールし、ひたむきにプレーするヌートバー選手の人気は急上昇。チームの一員として、目指せ王者奪還!