ライフ

現存する日本最古のワイナリー、甲州市「まるき葡萄酒」 料理に合うワインへのこだわり

昨秋収穫した甲州種の原酒の熟成具合を確認する安田製造部長。約130個の樽が並び、品種や商品によって熟成期間は異なる。甲州などの白ワインは半年ほど熟成させる(撮影/中庭愉生)

昨秋収穫した甲州種の原酒の熟成具合を確認する安田製造部長。約130個の樽が並び、品種や商品によって熟成期間は異なる。甲州などの白ワインは半年ほど熟成させる(撮影/中庭愉生)

 明治24(1891)年創業の「まるき葡萄酒」(甲州市勝沼町)は現存する日本最古のワイナリーとして知られる。日本人で初めてワイン醸造技術を学ぶため本場フランスに渡った創業者は当初から、日本固有種の甲州ぶどう(甲州種)を使うワイン造りにこだわった。甲州ワインはこの甲州種で醸造した白ワインを指す。

 約130個の樽が並び、品種や商品によって熟成期間は異なる。甲州などの白ワインは半年ほど熟成させる。本社敷地内の自社圃場では、雑草で微生物を増加させる不耕起草生栽培の畑に羊を放牧。羊の排泄物が天然の肥料となって土地循環を促す。圧搾して得た果汁はタンクに入れ、酵母菌を使ってアルコール発酵させる。発酵後、樽で熟成へ。地下貯蔵庫では1959年の甲州ワインなど24種類約2万5000本を熟成している。

 醸造責任者の安田政史製造部長が説明する。

「扇状地で栄養分豊かな土壌にも恵まれ、昼夜の寒暖差が大きい勝沼は古くから甲州ぶどうの産地。起源は700年代とも1100年代とも言われます。

 品種や商品に合わせて酵母菌や樽の素材・産地を選びますが、甲州ワインは料理に合う味わいと香りに仕上がるよう発酵管理や温度管理に細心の注意を払って醸造しています。畑や気候、樽が育む一期一会の個性を楽しんでいただければ嬉しいです」

 培ってきた醸造技術は赤ワインにも発揮されている。

取材・文/上田千春

※週刊ポスト2023年3月31日号

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン