回復のカギを握るのは「こころの免疫力」
ただ、安易に美容整形を勧めているわけではない。美容整形を受ける前に重要なのが、まずは「こころの免疫力」を高めることだと中嶋氏は言う。こころの免疫力を高めて「ありのままの自分」を受け入れるようにならないと、整形依存に陥る恐れがあるからだ。
「最近はさまざまな広告が出ていますから、美容整形は簡単にできるもののように思いがちですが、それは完全にまちがった認識です。美容整形は基本的に外科手術ですから、それなりのリスクがありますし、術後の回復にも時間がかかります。そして何よりも知っていただきたいのは、“美容整形は理想を100%叶える手段にはならない”ということです。
美容整形には限界がありますから、どんな結果になろうと“この完成度に満足だ”と思えるこころの強さが必要です。ところが、こころの免疫力が弱っていて、現実と折り合う力が備わっていないと、何度美容整形を繰り返したところで顔へのとらわれから逃れることはできません。結果的に、整形依存と呼ばれる状態へと悪化してしまうのです。
こころの準備が整えば美容整形はいつだってできるのですから、焦らずにまずは苦しみの原因を見つけてほしいと思います。身体醜形症は顔や外見にとらわれる病ですが、本質的な問題は“こころ”にあるからです」
マスクを外せなくなっている人もいる(イメージ)
身体の免疫力が弱まれば病気になりやすいというのは、誰もが知っている事実だ。では、こころの免疫力についてはどうだろうか。
「こころも身体と同じで、見えない負担が積み重なって免疫力が弱まれば、思考はすぐにネガティブになり、やがてはこころの病を発症します。SNSやインターネットとのつき合い方に正解があるわけではありませんが、こころの負担を減らすためにも、過信しすぎず、ツールとしてできるだけ割り切った使い方をしていく必要があるでしょう」
美容整形だけでは「見た目」の悩みは解決できない、と説く中嶋先生。著書の中では身体醜形症の根本的な解決につながる「こころの免疫力」を高める処方箋を具体的に公開している。美容整形の扉を叩く前にぜひ一読してほしい。