かつてのデート姿
解散を決定づけたのは、氷室に対する布袋の“仕打ち”だった。布袋は解散発表の前年の1986年に歌手の山下久美子(64才)と結婚し、BOOWYの活動と並行して彼女のツアーにバックバンドとして参加するようになった。
「山下さんのツアーに帯同する際、布袋さんはバックバンドとして、高橋さんと松井さんにも声をかけました。ですが、氷室さんを誘うことはなかった。そのやり方に違和感を覚えた高橋さんは、氷室さんに事情を説明した上で参加しようとしました。実はこの頃メンバー間では解散話が出ていたこともあって、高橋さんから話を聞いた氷室さんは、“来月解散しよう”と激怒したともいわれています」(音楽関係者)
解散以降、布袋と氷室が公の場で共演したことは一度もない。これが最初の盟友との決別だった。
また氷室さんの姿がなかった
伝説となったロックバンドのメンバーらは、現在もそれぞれの道で音楽活動を続けている。氷室は2014年のツアー中に耳の不調を公表し、コンサートツアーは2016年が最後だが、配信イベントなどで活動を継続している。松井は2012年から地元の群馬県・高崎でラジオ番組『松井常松 SOLID SOUNDS』のパーソナリティーを務めている。そして高橋はさまざまなバンドでドラムをたたき、69才となった現在も現役ドラマーとして活動中だ。
氷室以外の3人は、互いのライブに出演するなど解散以降も交流を続けてきた。2019年には、布袋のアルバムに高橋と松井が参加。3人がそろってレコーディングを行ったのは31年ぶりだった。
「布袋さんはこのときの心境を、“31年ぶりのセッションでぼくのギタースタイルの原点はこのリズム隊にあることを再確認した”と話しました。でもそこにはまた氷室さんの姿がなかった。せめて名前だけでも出してくれたらと思ったのですが……」(BOOWYファンのひとり)
ファンは節目節目でBOOWYの再結成を期待してきた。近年では、2021年の結成40周年、昨年秋にBOOWYのパチスロ機が登場した際にもすわ復活かと話題になった。ただ、ファンも氷室と布袋の微妙な関係性は承知しており、再結成が難しいことは理解している。そんななかで“奇跡を起こす男”として期待されていたのが、高橋だったのだ。