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米シンクタンクが獄中の香港「リンゴ日報」創業者に「ミルトン・フリードマン自由促進賞」を授与

香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏は服役中

香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏は服役中

 ワシントンのシンクタンク「ケイトー研究所」は5月19日、香港の実業家で、香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏に2023年の「ミルトン・フリードマン自由促進賞」を授与した。黎氏は香港の民主化維持のため、中国による香港国家安全維持法の制定に反対するなどしたため、2020年8月に逮捕され服役中で、今後の裁判で無期懲役刑を言い渡される可能性も出ている。ロイター通信などが報じた。

 黎氏は香港国家安全維持法に基づく「外国勢力との共謀」で告発された最初の人物で、 昨年12月、詐欺罪で懲役5年9カ月を言い渡された。 また、香港の国家安全法に基づく扇動罪と外国勢力との共謀罪にも問われている。

 ケイトー研究所は黎氏への同賞授与の声明で「中国政府を率直に批判する民主化論者は、刑務所で保釈を拒否され、一生塀の中に閉じ込められるかもしれない罪に直面している 」などと指摘した。

 また、授賞式には黎氏の息子の黎崇恩氏が出席し、「父は真実を語ったために刑務所に入った 」などと述べ、黎智英氏の無実を訴えた。

 一方、黎氏は今年9月から始まる香港国家安全法違反などの裁判に備えて、イギリスのベテラン弁護士ティモシー・オーウェン氏に弁護を依頼する申請を行った。しかし、香港国家安全委員会(NSC)は香港移民局長に対し、オーウェン氏への就労ビザの発行を拒否するよう勧告した。 弁護団は、NSCが「権限を超えた」ことを理由にこれを不服として司法審査を申し立てた。

 その後、香港議会は5月10日、国家安全保障に関する事件で外国人弁護士が容疑者の弁護をするのを拒否できる裁量権を香港政府の最高責任者に与える法案を可決しており、 同法に基づき、黎氏の司法審査申請は棄却されている。

 黎氏をめぐっては、米紙ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの編集者やノーベル賞受賞者など、世界各国のメディア関係者100人以上が中国共産党当局に対して黎氏の釈放を求める声明に署名するなどの支援活動を続けているが、香港当局は黎氏の仮釈放を認めず、拘留を続けている。

 黎氏は持病の高血圧や心臓病を抱えており、収監されてから今年8月で3年間となるが、当局側は黎氏の仮釈放を認めていないため、健康悪化が懸念されている。

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