「体にいい」という触れ込みの食品は多いが、食べ方や食べる量によっては体に害を及ぼすことがあるという。見落としがちだが、調味料にも落とし穴がある。例えば、肥満対策に効果があるとされるお酢だが、健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんは、「摂り方に注意してほしい」と言う。
「ダイエット目的でお酢を飲む習慣を持っている人も少なくありませんが酸性の強いお酢をそのまま飲むと、のどや胃を痛める可能性が高い。飲むなら必ず薄め、できれば食べ物にかけて摂りましょう」
高血圧対策によいとされる減塩調味料にもリスクが潜む。
「ナトリウム使用量を減らすために塩化カリウムが加えられている商品もあり、腎臓疾患などでカリウムを制限する必要がある人は注意が必要です」(望月さん・以下同)
減塩調味料とよく勘違いされるのが「薄口しょうゆ」。色と香りが薄いのが特徴だが、塩分量は「濃口しょうゆ」よりも多いので注意したい。それらと同様に望月さんが注意を呼び掛けるのは 「ゼロカロリー」「カロリーハーフ」と表記される商品だ。
「たとえばカロリーハーフマヨネーズは脂質を減らしてカロリー減を達成していますが、その分、砂糖が多く添加されているので普通のものより糖質が多い。カロリーハーフだと思って安心してたくさん食べれば、かえって糖質やエネルギーの過剰摂取となります」
カロリーオフ製品には人工甘味料が使われていることがほとんど。仏ソルボンヌ・パリ・ノール大学の研究チームが2022年3月に発表した論文によると、一部の人工甘味料を多量に摂取するとがんリスクが高まるという。そのほかの研究でも肥満や高血圧、脳卒中など脳血管疾患などのリスク増加が指摘されている。
そうした循環器疾患のリスクを下げる調味料として有名なのは「オリーブオイル」。しかし、アメリカ在住で内科医の大西睦子さんは、品質に注意が必要だという。実際、質の悪いオリーブオイルは世界的な問題で今年1月、FDAは食品詐欺の警告を出し、5つの例を挙げたが、その1つがオリーブオイルだった。
「ひまわりやコーンなどほかの植物油を希釈し、オリーブオイルとして高値で販売していた企業がありました」(大西さん・以下同)
料理の味を引き締めると同時に、あらゆる健康効果を持つスパイス類についても、FDAは警告を出している。
「ほかの植物の茎を混ぜてかさを増したり、スパイスに染料を使用して高品質に見せかける手法などがあります。たとえば抗酸化作用を持つターメリックや高血圧予防にいいとされるクミンなどのスパイスから、がんなどの健康被害を引き起こす可能性のある鉛含有染料やそのほかの工業用染料が検出されています」
腸内環境を整えるはちみつも、偽造されやすい。
「一部の悪質な企業は、はちみつやメープルシロップにコーンシロップやサトウキビ糖などの安価な甘味料を混ぜたことがありました。オーストラリアのマッコーリー大学による調査でも、はちみつは世界の異物混入製品リストで3位にランクづけされています。調べた18か国100種類の市販品のうち27品がコーンシロップやサトウキビ糖などで薄められていたそうです」
※女性セブン2023年6月29日号