SOSのサインが決定的になったのは4月20日。登園した修くんのお尻と右肩にあざが見つかった。先生からあざについて尋ねられた修くんはこう答えたという。
「誰かからされた」
保育園が区に通報し、4月24日に区役所職員が沙喜容疑者と由美子さんを訪問。あざについて聞かれた2人は「心当たりがない」と返答した。
「その後、沙喜容疑者が『子供が祖母を殴るなど育てにくさがある』と申し出て、5月2日、こども家庭センターで修くんを一時保護することが決まりました。ところが当日、修くんと沙喜容疑者は現れず、のちに由美子さんが『家族でみるから一時保護はしなくていい』と連絡した」(前出・社会部記者)
しかし、修くんは小さな体で必死に苦境を訴えていた。
「5月上旬、“助けてください。家に誰もいないんです。出られないんです”と、2階のベランダから訴える修くんの姿を複数の近隣住民が目撃しています。ベランダに修くんを出して内側から鍵をかけ、室内に入れないようにしていたようです。ただ、通報する近隣住民はひとりもいなかった。6月1日、区役所の職員が由美子さんに一時保護を断られたのを最後に、行政も修くんとの接触は途絶えています」(前出・別の社会部記者)
6月に6才の誕生日を迎えたばかりでこの世を去った修くん。同年代の子供たちが親の優しさや愛情に触れながら成長していく中、彼は虐待を受け続け、そして短い生涯を終えた。助けを求めて精一杯大声を張り上げても誰も手を差し伸べてくれない。幼い彼の目にこの世界はどう映ったのか。生まれてからの6年間、それは生地獄と言えるものだったのではないか。
「行政は6年前から沙喜容疑者とかかわりながら、なぜ手が打てなかったのか、徹底的に検証する必要があります。穂坂家のような特殊な家庭環境では、SOSを出すということ自体に思いが至らないという場合もある。こういったケースでは、行政を中心に第三者が干渉しない限り、子供を守ることは難しくなる」(前出・別の社会部記者)
悲劇を二度と繰り返さないために何をすべきか。社会が答えを見つける必要がある。
※女性セブン2023年7月13日号