──ごきょうだいのことを、どう思っていますか。
「なんとも」
──お母様については。
「思い出したくないです。それだけです。……ほんまに、思い出したくない」
──ご家族と離れてどのくらいになりますか。
「昔から。見捨ててる状態。もうかかわらん」
前述の通り、今回の事件現場の自宅に由美子さんと朝美容疑者、朝華容疑者が引っ越したのは2011年。そして2017年頃、沙喜容疑者が一家に加わった。
「沙喜容疑者は特別支援学校の高等部卒業後、障害者雇用枠で神戸が本社のアパレルブランドに勤めていたそうです。その後、職を転々とする中、一時は水商売で働いていたことも。妊娠を機に穂坂家に合流したとみられ、2017年6月に修くんが生まれました。戸籍上の父親は確認できていません」(別の社会部記者)
特筆すべきは、この頃すでに沙喜容疑者と行政に接点があったことだ。彼女は妊娠中から「養育に不安がある」と相談していたという。
「神戸市西区役所は、妊娠中から沙喜容疑者を見守り対象とし、職員が健診や子育てにかかわっていました。沙喜容疑者は意思疎通に難がある部分もありましたが、修くんは0才児から保育園に入園し、今年1月までは、ほぼ毎日休まずに通っていました」(前出・別の社会部記者)
一方、近所では沙喜容疑者の異様な育児がしばしば目撃されていた。近隣住民が語る。
「修くんは元気がいい普通の子でしたが、母親はヒステリー気味でした。保育園に送り迎えする際、『はよせんか!』と修くんを怒鳴りつける場面をよく見ていました。その怒り方はしつけというより、もっと強烈で金切り声でした。修くんは怯え、泣きながら母親に従っていました」
別の近隣住民は、修くんの「首輪」をつけられた散歩姿に衝撃を受けたと振り返る。
「母親が、リードのついた犬の首輪を修くんの小さな首にはめて、それを引っ張りながら『あっちに行け! こっちに来い!』と指示を出していました。修くんは健気に従っていたけど、子供を弄んで、ひどいなって。“まるでペットやな”と……」
「助けてください。出られないんです」
坂道を転がるように状況が悪化したのは、昨年末、大地容疑者がきょうだいが住む家に転がり込み、“恐怖支配”を始めてからのことだという。
「大地容疑者には妻がいるそうですが、ひとりで穂坂家に合流したようです。彼が来てから『おれの命令が聞かれへんのか!』『はよメシ食え!』といった男性の怒鳴り声や、女性の悲鳴、何かを叩く音などが聞こえるようになった。その一方で、窓が閉め切られ、生活音がまったく聞こえなくなるときもあるなど、異様な状態でした。
そして今年の2月に入ると、修くんは保育園を休みがちになった。3月は5日、4月はわずか2日のみの登園でした」(前出・社会部記者)