芸能

市川猿之助容疑者の逮捕に歌舞伎界は鈍い対応 松竹は「見解は差し控える」、セクハラ・パワハラ調査はうやむやに

猿之助容疑者

猿之助容疑者逮捕に関係各所は“見解差し控え”などの対応

 歌舞伎役者の市川猿之助容疑者(47才)が6月27日に逮捕された。5月18日に都内の自宅で亡くなった母親(享年75)の自殺を手助けしたとする、自殺幇助容疑だ。同日午前10時過ぎ、都内にある猿之助の自宅を訪れたマネジャーが、半地下の部屋で猿之助を、2階リビングで、歌舞伎役者で猿之助の父・市川段四郎さん(享年76)と母親を発見した。歌舞伎の名門・澤瀉屋に起きた衝撃の事態だった。

 猿之助の歌舞伎における処遇を巡っては、6月3日に、今年10月までの休演が発表されていた。一部では猿之助の「復帰待望論」まで出ており、猿之助の周辺では「次」に向けた動きも見られていた。

「興行関係者や、猿之助さん不在の澤瀉屋を支える立場であるいとこの市川中車さん(香川照之・57才)は、水面下で猿之助さんと連絡を取り合っており、その様子を見つつ、今後の澤瀉屋の歌舞伎公演の演目や演出、キャスティングなどの打ち合わせを重ねていたといいます」(歌舞伎関係者)

 背景には、それぞれの思惑が透ける。

「興行側にとっては、集客力がある人気一門の澤瀉屋を、そうやすやすと“解散”させるわけにはいきません。一方、40才を超えてから梨園入りした中車さんが、この先一門を引っ張って行くのは荷が勝ちすぎる。中車さんの息子で、将来有望な市川團子さん(19才)を擁していたとしても、『猿之助さんの名前』という後ろ盾に頼らざるを得ません。

 深刻な事件を引き起こしましたから、舞台に再び立つことが実現するかはわかりませんが、演出やスーパーバイザーといった肩書で、休演明け以降、歌舞伎公演にかかわっていくことは充分考えられた」(前出・歌舞伎関係者)

 だが、その青写真は、猿之助の逮捕によって大きな変更を余儀なくされるだろう。それでも、興行側は、猿之助のセクハラ・パワハラ疑惑の解決に着手する考えはないようだ。

《本日、警視庁より、市川段四郎夫妻の死去に関連して市川猿之助が自殺幇助の容疑にて逮捕されたことが発表されました。(中略)弊社といたしましては、本件が猿之助の家族内の事件であることにも鑑み、司法による最終的な判断がなされるまでは、会社としての見解について申し上げることは差し控えさせていただき、今後の捜査等を見守りたいと存じます。》

 歌舞伎興行を担う松竹は猿之助の逮捕当日、ホームページにそうコメントを発表した。

「逮捕されても、まだ捜査は続きます。起訴されれば、刑事裁判へと舞台が移ります。
そのたびに『捜査中』『刑事裁判中』と理由をつけ、セクハラ・パワハラの調査や、ガイドラインの導入などの是正は行われず、うやむやにしてしまいたいのでしょう」(歌舞伎評論家)

 だが、猿之助が逮捕された一件と、歌舞伎界に根を張るセクハラ・パワハラはまったくの別問題であり、今後の歌舞伎界にとって、後者の方が重要な意味を持つことは間違いない。いつまで見て見ぬふりを続けるのだろうか。

※女性セブン2023年7月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン