DeNAファンから愛された石川(時事通信フォト)
「やっぱり試合に出たいよね。悔しい思いしかない。下手くそだから誰よりも練習、トレーニングしないと。最低3年はやらないと自分の可能性も分からないじゃないですか。プロ野球選手からアメフトに転身して話題になったけど、それだけで終わりたくない。アメフトの選手として認められたいですから」
35歳から挑戦したアメフトは想像を絶する世界だった。30度を超える炎天下でヘルメット、ショルダーなど総重量8キロの防具を続けて走り続けた際に熱中症で倒れて嘔吐し、ボールをキャッチする際に左手の中指を骨折したことも。石川のポジションはクォーターバックのパスを捕球するワイドレシーバー。最初はディフェンスの選手とぶつかった際、簡単に吹き飛ばされた。コンタクトスポーツで肉体改造の必要性を痛感し、体重はDeNA時代から8キロ増えて86キロに。体脂肪は10%を切った。
今年から相模原の主将に就任した宜本潤平は富士通で6度日本一に輝いた黄金期の中心メンバーとして活躍し、2015年に日本代表でW杯に出場。アメフト界のトップ選手で、昨年相模原に移籍。石川とプレーしたのは1年間だったが、平日に共にトレーニングを行うなど親交が深い。
「タケさん、練習でもボールを取りに行く時につぶされたり滅茶苦茶にやられていました。でも心が折れないんです。常に泥だらけで一生懸命。アメフト初心者の自分を受け入れて必死に食らいついていた。ああいう姿を見たら『もっとやらなあかん』と他の選手たちも感じる。実際に能力は非常に高かった。直線でなく、曲がったりターンするスピードが求められるトレーニングでトップレベルのタイムを出した時は衝撃を受けました。もっと経験を積めば試合の出場数が増えるし、高いパフォーマンスを見せられたと思います」