新小岩北地区センターで行われた、葛飾区民のための健康づくり事業「かつしか健康チャレンジ」のイベントの様子
もちろん、人によって程度の違いはあるが、それらが自分のタイプを知る目安となる。その上で、それぞれのタイプによって、普段使うソファーやイスの高さや材質の選び方、就寝時の寝具の硬さや枕の高さ、ハンドバッグの持ち方やリュックサックの背負い方などがまったく異なるのだという。
「タイプによって日常生活や運動時に気をつけるべきポイントがありますし、合わない体の使い方をしていると、痛めたり不調に感じたりします。それぞれの特徴に合わせて体を動かし、コンディションを整えることが健康増進には必要です」(鴻江氏)
講演の参加者が、鴻江氏の指示のもと立ち上がり、実際にストレッチをしてみたり、歩き方を伝授される一幕もあった。スポーツ用品メーカー・デサントとコラボして作った、故障予防などの効果が期待できる「コウノエベルト」などに感心を寄せる参加者も多かった。
「人生100年時代」に、健康寿命を延ばすヒントに
「鴻江理論」は、トップアスリートへの対応を通して確立されたものだ。前述したように、2度のWBC日本代表チームのほか、アテネ・北京両五輪の野球日本代表チーム。さらに東京五輪のソフトボール女子日本代表チームに帯同した。鴻江氏はソフトボール女子のレジェンド・上野由岐子投手のパーソナルトレーナーを務めるほか、今年、海を渡ったメジャーリーグのニューヨーク・メッツに所属する千賀滉大投手なども、鴻江氏の指導を仰いでいる。
講演会には、東京五輪ソフトボールの金メダリスト・峰幸代選手と渥美万奈選手が登場し、鴻江氏と出会ったことで、体のタイプと体の使い方を理解し、100%のパフォーマンスが出し切れたことを明かした。
「トップアスリートも、1人の人間であることに変わりません。であれば、彼らが日々自分たちの体に感じていたりすることは、一般の人にも充分適用できると考えたんです」(鴻江氏)
鴻江氏は、6月に出身地の福岡県八女市で行われた講演会にも登壇していた。人口6万人ほどの同市では、約300名の参加者が会場に。質疑応答タイムでは、参加者らをステージに上げ、手取り足取りの実践モードで体の悩みと向き合っていた。
「ありがたいことに、全国の自治体などからの依頼をいただいており、今後も講演活動を続けていきます。人生100年時代を迎え、より健康寿命を延ばすことへの注目が集まっています。私の理論で、1人でも多くの方が元気に体を動かし続けられるようにできるといいですね」(鴻江氏)
取材・文/祓川学