芸能

【破天荒番組の舞台裏】初回オープニングは「撮り直し」から始まった 『ランジャタイのがんばれ地上波!』演出がランジャタイ起用理由を語る【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】

M-1から一躍テレビバラエティに進出したお笑いコンビ・ランジャタイ

M-1から一躍テレビバラエティに進出したお笑いコンビ・ランジャタイ

M-1グランプリ』の出場を契機にテレビバラエティに進出するようになったお笑い芸人が数多くいる中で、ここ数年で最も爪痕を残しているのは、お笑いコンビ・ランジャタイだ。2020年に準決勝および敗者復活戦出場、そして2021年には決勝進出の経歴を持つ実力派だが、2021年の決勝では松本人志、上沼恵美子をはじめ7人の審査員の頭を抱えさせるほどの破天荒漫才を披露したことも記憶に新しい。 

 そんなランジャタイをMCに据えた、新しい地上波バラエティを模索する番組『ランジャタイのがんばれ地上波!』がテレビ朝日の深夜枠「バラバラ大作戦」で放送中だ。同番組の企画・演出の秋山直氏は、「番組を“壊す”芸人がMCをする番組が深夜にあってもいい」と語る。 

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第8回【前後編の前編。文中一部敬称略】。 

 * * * 

“地下”の匂いが色濃く漂う唯一無二の番組 

『ランジャタイのがんばれ地上波!』の演出・秋山直氏

『ランジャタイのがんばれ地上波!』の演出・秋山直氏

 2020年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日)敗者復活戦でランジャタイ国崎が発した「国民、サイテー!」という一言から、地上波のお笑いに歪みが生じたように“地下”が侵食し始めた。この大会で優勝したマヂカルラブリーを筆頭に錦鯉、モグライダー、ウエストランドらいわゆる“地下芸人”と呼ばれていた芸人たちが次々とブレイクしていった。 

その中には、もちろんランジャタイもいた。 

 彼らのカオスな芸風そのままをいかした、“地下”の匂いが色濃く漂う唯一無二の番組といえば、ランジャタイの冠番組『ランジャタイのがんばれ地上波!』(テレビ朝日)だろう。番組を立ち上げたのはこれまでテレビ朝日の深夜枠「バラバラ大作戦」で『ぼる塾のいいじゃないキッチン』や『もう中学生のおグッズ!』といった異色の番組を手掛けてきた秋山直だ。 

「僕はもともとランジャタイさんがずっと好きで、漫才を死ぬほど見てたんです。T.M.Revolutionがラーメンからでてくる『TMラーメン』ってネタが一番好きなんですけど(笑)。それで『もう中学生のおグッズ!』で、もう中さんと国崎さんを組み合わせたらヤバいことになるだろうなと思ってゲストに呼んでみたら、やっぱめちゃくちゃハネて。僕が想像もつかなかったところまで収録が転がっていったので、ランジャタイさんの番組の企画書を出しました。 

 企画を通すために、ランジャタイさんにLINEをして、番組をやったらどんなことをしたいですか?って聞いて返ってきた返信を企画書に貼って、『ランジャタイも乗り気です!だからやらせてください!』って(笑)」 

番組を“壊す”芸人をMCに据える理由 

酸素ボンベが必須の過酷な収録現場

酸素ボンベが必須の過酷な収録現場

『もう中学生のおグッズ!』のもう中学生にしても『ランジャタイのがんばれ地上波!』のランジャタイにしても、通常は番組を壊す役割を担っている芸人。常識的に考えるとMCに向いているとは言い難い。 

「でも、僕はそれもありなんじゃないかって思ったんですよね。“壊す人”がメインを張ったっていい。そういう“無軌道バラエティ”がいまの時代、深夜に1個くらいあったほうがテレビファンとして個人的にも嬉しいので。そんな番組がいつかメインを張れるようになったら、まだテレビも捨てたもんじゃないって思ってもらえるんじゃないかっていう意味で、地上波もがんばれ、という思いも込めました。 

 だから『がんばれ地上波』っていうタイトルにもいろんな意味があって。ランジャタイが地上波でがんばるっていうのもあるんですけど、僕としては、もしかしたらランジャタイが地上波をもう1回輝かせるような存在になってくれるんじゃないかっていう思いも込めました」 

 2022105日の初回放送のオープニングは「撮り直し」から始まった。 

 オープニングの最初は国崎の姿は見えず、伊藤だけがいる状況。しかし「(国崎の)気配は感じる」と伊藤が言うと、国崎ははるか遠くの方でなにやら喋っていた。そして、そのまま国崎は自由に動き回った結果、撮影申請をしていない場所まで行ってしまい、30分近くのやりとりが全部「お蔵入り」になってしまったのだ。 

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン