「しばしフリー」のカンペで何かが起きるまで待つ 

 

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台本に記された「しばしフリー」の文言

 初回からやりたい放題なランジャタイらしさが爆発した。この回に限らず実質15分ほどの番組にもかかわらずオープニングが毎回長いのもこの番組の特徴だ。 

「基本的に『止めない』ということが、この番組における最大の仕事だと思っていて。行けるところまで行こうと思っているので、カンペも『しばしフリー』って出す(笑)。何かが起きるまで待つ。で、そろそろ限界だなと思ったら次の流れを出すという感じなんですけど、オープニングで1本行けるなら1本行っちゃっていいとも思ってます。 

 初回のときも『しばしフリー』。後で許可を取れたら流せばいいやと思って。取れなかった時のことを考えて、もう1回オープニングを撮ったんですけど、どちらでも行けるように撮って面白いところを使おうと」 

 基本的に「止めない」から当然収録時間も長くなるし、想定外のことも次々と起こる。2本分、つまり30分程度の放送尺のために6時間近く回すことも少なくない。もちろん、面白ければ臨機応変に3本や4本に増やすという。実際、7月に放送している「真夏のブチギレ王決定戦」は当初2本分を予定していたが、盛り上がりすぎて4本分、1か月全部が「ブチギレ王」になった。それでも5時間近くは削らなければならない。 

「編集が死ぬほど苦しいんです。とにかく密度を意識します。バラバラ大作戦は若い人が見るだろうし、テンポよく、1分間の中に笑いがどれだけ入っているかを目指します。めちゃくちゃドロドロの濃いものにする。だから大変です。これを落とさなきゃいけないのかって毎週地獄なんです」 

“未知の状況”を起こすための仕掛けは、台本上で 

鏡に写る自分にキレるバイきんぐの小峠英二

鏡に写る自分にキレるバイきんぐの小峠英二

 基本的に最初と最後がどうなるかという想定と何をやるのかという大枠の部分は台本で作ってはいるが、あまり細かくは作っていないという。 

「『現場だけを用意して、あとは自由に』というスタンスです。やっぱりこの番組の一番いいところって、ランジャタイさんもスタッフも想定していなかったことが起こること。その余白を残すために台本はあまり書いてないですね。 

 たとえば、タイトルコールがあって、『しばしフリー』。で、ゲストの呼び込みの順番も何もない。どんな順番で呼び込んでもらってもいいと。僕は半分ドキュメントのつもりでやっています。 

 ただ、1個工夫しているのは、たとえば『ブチギレ王』に小峠(英二)さんが出てくださったんですけど、“鏡に写る自分に向かってブチギレる”という企画をやったんです。何人か若手芸人の方もいる状況なので、普通だったら小峠さんは最後にやるんですけど、僕はあえて2番目にしておいたんです。 

 そしたらやっぱり2番目に指名された小峠さんは焦ってました(笑)。基本的に鏡に向かって『ハゲすぎだな!』『お肌ボツボツしてんな!』とか自分の悪いところを言うんですよ。でも2番目なのに、小峠さんは『悪くないね!』って(笑)。面白いんですけど、そういうひねりって全員のラストにやることだと思うんですよ。だから小峠さんも『2番目でこれはおかしいなと思った。もう1回やらせてくれ!』と(笑)。それがめちゃくちゃ面白かったんです。そういう見たことのない状況を起こすための仕掛けは台本でも作るようにしてますね」 

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