「『ブチギレ王』はロケバスの中で国崎がチラッと言ったのが始まり」
相手のティーカップにブチギレ合う村田大樹(武炎)とネコニスズ・ヤマゲン
この番組の大きな特徴のひとつといえばゲストの人選だ。きしたかの・高野、ウエストランド・井口、モグライダー、あぁ~しらき、村田大樹(武炎)、わらふぢなるお・なるお、ネコニスズ・ヤマゲン、桐野安生、そしてモダンタイムスといった、いわゆる「地下ライブ」のようなメンバーが当たり前のように出演している。
「最初に僕がランジャタイさんに『こういう企画をやりたいです、誰を出しましょう?』って聞いて挙がった人を基本はキャスティングするという形です。加えて、もうひとりは僕が提案します。たとえば『ブチギレ王』だったら「(「きしたかの」の)高野さんを入れたいです」って僕が言って、あとの村田さん、ヤマゲンさん、なるおさんはランジャタイさんが提案してくれました。
僕らスタッフだけで決めたキャスティングでやるより、ランジャタイの2人が選んだキャスティングが入っている方がノリノリでやってくれると思うので、結果、面白いものが撮れる。お互いの意見を反映したものが、ベストな結果を生むんじゃないかと思っています。一緒に作るっていう感覚が好きなんです」
多くの番組では構成作家らとの会議で企画が立ち上がっていくが、この番組では、ゲストの人選同様、ランジャタイと秋山が主導して企画を考えることが多いという。
「僕が提案するのもあるし、ランジャタイの2人からこういうのをやりたいって言ってくるのもあります。たとえば『ブチギレ王』は、ロケバスの中でみんなで話している時に国崎さんが『ブチギレ王みたいなことをやりたいっすね』ってチラッと言ったのが始まり。打ち合わせでもダラダラおしゃべりしながらやっている感じです。それを作家さんとの会議で形にして膨らませていく。
急に国崎さんからLINEが来たりもしますね。『R-1にもう出れない人たちを集めて「R-1さん、もういいでしょう?」っていう企画はどうでしょう?』みたいに(笑)。こちらから企画を提案したときの反応も正直ですね。ダメなときはおふたりは『うーーん』となるので『やめましょうか』ってなります。伊藤さんは打ち合わせ中も基本静かですけど、めちゃくちゃ考えてらっしゃるので聞いたら答えてくれます。内に秘めたものがスゴいですね」
「年始ブチギレ王決定戦」「2代目MOROHA選手権」「顔-1グランプリ」…と今年になってからSNS上でも大きな反響のあった名企画が次々と生まれているが、秋山自身はさらに前の企画も印象に残っているそう。
「昨年11月に放送した『国崎和也の脱出セヨ!』という回が個人的にはめちゃくちゃ面白かったんです。国崎さんがゲームマスターとなって脱出ゲームを仕掛けるという企画なんですけど、別に脱出でもなんでもなく、桐野安生大暴れ回(笑)。収録現場で僕はカンペを持てなくなるくらい笑ったんですよ。
で、国崎さんも伊藤さんも爆笑してて、これはいけるぞと思ったんですけど、全然再生数が回らなくて。国崎さんも楽屋で『桐野安生、売れますよ!』って言ってたんですけど、アングラすぎたんですかね。あれは何だったんだ、俺たちやっぱズレてんのかなって思いました(笑)」
(後編に続く)
【プロフィール】秋山直(あきやま・なお)/『ランジャタイのがんばれ地上波!』企画・演出。2015年テレビ朝日入社。『ミュージックステーション』、『くりぃむクイズ ミラクル9』でADを経て、現在は『マツコ&有吉 かりそめ天国』チーフディレクターを務める。
◆取材・文 てれびのスキマ/1978年生まれ。ライター。戸部田誠の名義での著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イーストプレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)、『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』(双葉社)など。
