2016年の熊本地震では現地で行方不明になった動物を救出する「チームうーにゃん」を結成するなど、命の平等や大切さを訴えるべく、幅広く活動している。
伍代は「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」始動にあたってうささんから災害時のペット避難の現状を聞き、まだまだ理解の少ない「同室避難」を世に広めていこうと志を語り合ったという。
東日本大震災の経験から環境省が災害時のペットの救護についてガイドラインをまとめているが、避難時は「同行避難」が基本とされている。7月22日に愛知県豊橋市で行われたペットとの避難訓練を例にとっても、避難所では「ペット専用スペースを設ける」「ペットは人の居住空間へ入れない」などがルールに掲げられた。
だが、「同行避難」では災害で命を落とす動物を救えないと、うささんは断言する。
「同行避難もしくは同伴避難はいずれもペットと共に避難することを指しますが、人とペットが同室で過ごすことは意味しません。それではペットを家族として迎えている人は避難してこないんです。
あまり知られていませんが、東日本大震災では愛犬と一緒に避難所に行ったものの、ペットと同室避難を断られた人が最悪の事態に陥っています。選択肢がなくてペットと共に自宅に帰り津波に飲み込まれた人が少なくない人数いるんです。実際、石巻市では、ワンちゃんを抱きしめたままの遺体が何体も見つかっています。
他にも、迫る津波から逃げるため学校の最上階へと避難した人が“ペットは上の階に上げられない”と言われ、泣く泣く愛犬を下の階に置いておいたところ、目の前で流されてしまった。その光景が目に焼き付き、今も自分を責め苦しみ続けています」
うささんは全国の地方自治体の首長へ、同室避難を粘り強く呼びかけてきた。その願いが通じ、愛知県犬山市では市内の指定避難所のうち3か所で昨年12月1日より、ペットとの同室避難が可能になった。
こうした動きも出てきたが、現状では行政の多くが、人と動物の避難所を別にする考えだという。
環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」(2013年)では東日本大震災に伴う自治体へのアンケートが報告され、避難所でのペットのトラブルとして、犬の鳴き声や臭いなどの苦情が最も多かったとされている。ノミの駆除など適正な飼育がされていないことでのトラブル、アレルギー体質の人と避難所を共有する難しさも課題に挙がっている。