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北朝鮮で地方警察が秘密警察の国家保衛局員を党中央委員会に告発 両者にけん責処分の異例事態に

ことの発端は?

ことの発端は?

 北朝鮮では、司法警察組織として一般の犯罪を取り扱う社会安全省傘下の地方警察と、国家の治安維持と党政府指導者の警護などを担う秘密警察組織である国家保衛省が存在する。地方ではしばしば両者の任務がかぶることがあり、時として対立が激しくなることがある。

 最近では北朝鮮北部の両江道(県に相当)の警察署内で、手柄争いから警察官が地方の保衛局員に対して朝鮮労働党中央委員会に告発状を送り付けた結果、両者が党中央からけん責を受けるという異例の事態に至ったという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 ことの発端は両江道の警察署の警察官が現在捜査を進めている人物の過去の事件に関する資料を保衛局員に要求したところ、保安局員が「国家機密」であることを理由に拒否したことだ。

 このため、警察官が保衛局員に「資料があるのに出さないのは、党規律違反だ」などと文句を言ったところ、「地方の警官が何を言うか」などと激しい口論に発展。この騒ぎで、他の警官と保衛局員も巻き込んで、双方が対立する騒動となった。警察署長のとりなしもあって、一時的に騒動は収まったが、保衛局員のやり方に怒った警察幹部が党中央委員会に、日ごろの保安局員の非協力的な言動を書いた告発状を送り付けた。

 この騒動が党最高幹部にまで知れたことで、社会安全省と保衛省の上層部がけん責処分を受けるという醜態にまで発展してしまった。

 両者の対立の背景には、保衛局員は一般警官にはない特権を持っているという優越感があるという。

 とはいえ、両者が対立すればするほど、地方における犯罪捜査が遅れ、そのしわ寄せは地域住民にくることなる。こうした状況が一般市民の官憲嫌いに拍車をかけていることは間違いない。

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