山本由伸(写真/AFP=時事)

WBCでも活躍したオリックスの山本由伸(写真/AFP=時事)

高校の後輩・山本由伸からも刺激

 ディレクターとして今回の甲子園でも取材章を首にぶら下げて、初出場となった宮崎学園の奮闘ぶりを県民に向けてレポートした。かつてキャスターを務めていた頃、宮崎の学校に通う息子が甲子園に出場し、それを現地で取材することを福盛は夢見ていた。しかし、長崎の強豪校のエースに成長した息子が甲子園出場を果たしても、福盛はメディアから取材される側であり続けた。

「純粋に息子を応援したい。本当は保護者の席で応援したいんですけど、普段からあまり創成館を応援できていない自分が、いきなり保護者席に座って取材を受けていたら、うざいと思うんですよ。だからこうして、遠くから応援しています」

 そうしたところはテレビマンならではの配慮だろう。

 かつて1980年代にPL学園との名勝負を聖地で繰り広げた母校の都城高校は長い低迷期にあり、春は1984年、夏は1999年を最後に甲子園にたどり着けていない。だが、同校OBの山本由伸(オリックス)が日本のエース格として今春のWBC制覇にも貢献している。オリックスが宮崎で春季キャンプを行うこともあって、福盛は山本と親交が深い。

「一緒に食事することもあるし、自宅に来てくれたこともある。大和も由伸と一緒にとった写真は大切にしていますし、由伸も大和のことを応援してくれているかな」

 台風7号が去り、創成館は8月16日の第1試合で沖縄尚学と対戦する。実働15年間で通算41勝45敗82セーブの実績を残した父を超えることは、大和にとって夢から現実的な目標になりつつある。

♦取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

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