必ず「はい」と答える質問を投げかけるテクニック「イエスセット」
イエスセット
「イエスセット」とは、相手の答えが必ず「はい」になる質問を投げかけ、相手との心の距離を縮めていく心理テクニックをいう。たとえば、占い師はこんな会話で流れを作る。
「今日もまた暑いですね」
「そうですね」
「日差しが強いと日焼け対策も大変ですが、あなたは暑い季節が大好きなのでは?」
「よくわかりますね。もともと冬が嫌いで、夏はシミも気になりますが、私、かき氷好きで、あちこち食べ歩くのが好きなんですよ」
当たり障りのない会話から始めて、相手が「はい」と答えやすい雰囲気を作っていくと、質問者のことを拒絶せずに受け入れる流れが自然とできて、「この人の言うことはだいたい間違いない」と、抵抗感や警戒心を徐々にゆるめていく。
「イエスセットは『一貫性の原理』とも呼ばれますが、肯定的に答えられる質問を一貫して繰り返すのがポイント。すると相談者は占い師の発言を肯定的に受け止め、自分のことを自ら語り始めるようになるんです」
バーナム効果
「バーナム効果」とは
別掲図は『占い師星子』の作中でバーナム効果を解説した1コマだ。
「バーナム効果とは、誰にでも当てはまる質問を行うことで、相手の信頼を得る心理テクニックです。もともと『グレイテスト・ショーマン』というアメリカ映画でヒュー・ジャックマン扮するサーカス興行師がバーナムという人で、その人が残した『誰にでも当てはまる言葉がある』という言葉に由来しています」
漫画枠内のいちばん上にあるように、「あなたは人から好かれたい、褒められたいと思っていますよね?」と聞かれれば「もちろん」と答えるが、「にもかかわらず自己を批判する傾向にありますね」と言われれば、「その通り、よくわかるなこの人、自分のことが見えている」という気持ちになり、相手への信頼感が自然と増すわけだ。
しかし、落ち着いて考えてみれば、「褒められたい気持ち」と「自己批判する気持ち」は誰もが持っていることに気づくだろう。相反する二面性──たとえば「大胆さと繊細さ」「積極性と消極性」「社会性と独立心」など──は誰もが併せ持っているものながら、占い師から巧みに誘導されると、自分だけに当てはまると感じてしまうから不思議だ。
「占いの文章はバーナム効果によるものが基本です。聞いたことをそのまま受け取るのではなく、フラットな気持ちで考えてみると、その単純さに気づくはず。そうすれば、バーナム効果のワナから解放されます」