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叙述トリックと視線の動きで視聴者をミスリードする『VIVANT』 予想を裏切られても惹きつけられる魅力とは

裏切られても続きを観たくなる『VIVANT』(番組公式HPより)

裏切られても続きを観たくなる『VIVANT』(番組公式HPより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、さまざまな考察でネットがざわつくドラマ『VIVANT』の魅力について。

 * * *
 俳優の堺雅人さん(49才)が主演しているTBSの日曜劇場『VIVANT』が好調だ。ここ数回は今夏ドラマで唯一、視聴率14%台をキープする独走状態になり、8月27日に放送された第7話では衝撃の展開がネットを大いにざわつかせた。

 モンゴルの照りつく広い砂漠の中を堺さん演じる主人公、乃木憂助がたった一人でさまよう姿から始まったこのドラマ。第1話を見終わった感想は”よくわからないドラマ”だった。ドラマの舞台は日本と架空の国バルカ。金融取引絡みの企業犯罪物ドラマかと思えば、それが国際的なテロ組織の話につながり、警察やら諜報機関やらが次々と出てくる。そこに人道的な医療問題も絡み、大風呂敷を広げたような展開に頭が追い付いていかなかったのだ。

 それでも回を重ねるごとに出てくる人間関係やストーリーが整理され、ドラマの本筋がわかったという気になる。と思いきや、いきなりその思い込みが覆されるような衝撃の展開が繰り広げられる。こうだろうと推理したくなるシーンやセリフが続き、ああやっぱりこういう話だなと思った矢先、突然、その裏をかかれてしまうのだ。そのため、推理小説でいうところの「叙述トリック」にはまった気分になる。ネットがざわつき考察モノのドラマと呼ばれるのも、ウェブメディアが考察記事を数多く公開するのも、それぞれの先入観や思い込みがミスリードへと導かれたからだろう。

 叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用しながら、巧みな仕掛けを用いたり情報を伏せたり曖昧にしたりすることで、読者をミスリードへと導く方法のこと。今回のドラマでは、視線の動きも仕掛けの1つになっている。乃木の視線や阿部寛さん(59才)演じる警視庁公安局の捜査官、野崎守の視線の動きは、謎を投げかけ疑惑を深めていくからだ。優しい眼差しや厳しい視線、鋭い視線や疑いを持った目、堺さんと阿部さんはその目の表情や動きでドラマを動かし、彼らの作り出す世界観の中で視聴者を誘導していく。

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